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糖質を摂取すると倦怠感や眠気が…血糖値が乱高下する「血糖調節異常」ってどんな病気?

血糖値の乱高下によって体に不調が出る「血糖調節異常」が話題に。「もっと知られてほしい」との声も多いようですが、どのような病気なのでしょうか。

「血糖調節異常」とは?
「血糖調節異常」とは?

 俳優の中谷美紀さんが先日、自身のインスタグラムで、「血糖調節異常」で医師の指導を受けていることを明かし、話題になりました。中谷さんは自身の体質について、「万が一おにぎりなどを口にしようものなら、たちまち血糖値が乱高下して、耐え難き睡魔が襲って来る上、大人のニキビや倦怠(けんたい)感にも苛(さいな)まれる」と説明し、糖質の摂取を極力控えているとつづっています。

 こうした症状の苦しみについて共感の声も多く、「私も血糖値の乱高下に苦しんでいます」「糖質制限はダイエットのイメージが強いけど、こういう症状の人もいるんだ」「こういう病気があること、もっと知られてほしい」など、さまざまなコメントが寄せられています。

 血糖値が乱高下することで体の不調を来す「血糖調節異常」とは、どのような病気なのでしょうか。内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

食後数時間が経過してからの「低血糖症状」に注意

Q.「血糖調節異常」とは何ですか。

市原さん「医学的には、『血糖調節異常』という表現は使いません。俗にいう『血糖値スパイク』のことですが、医学的には『食後高血糖』といいます。病名ではなく、病態の表現です。

症状としては、食後の血糖値が一時的に上がることによって、倦怠感や眠気などが出ることがあります。食後の血糖値が一時的に正常域を超えて上昇する場合、正確には『ブドウ糖負荷試験』(後述)を行って診断しますが、『境界型糖尿病』、もしくは『2型糖尿病』の初期の可能性が高いです。食後高血糖は、境界型糖尿病もしくはその前段階、そして境界型糖尿病は糖尿病の前段階と考えてください。

ちなみに、健康な人は、食後の血糖値が140ミリグラム/dlを超えることはありません。境界型糖尿病の場合、まず食後の血糖値が上昇し、その状態が続くと徐々に空腹時血糖値も上昇し始め、糖尿病へと進みます」

Q.食後高血糖(血糖調節異常)の人が糖質を摂取したとき、体内では何が起こるのですか。

市原さん「先述の通り、食後高血糖の人が糖質を過剰に摂取した場合、食後の血糖値が上昇し、その数値が200ミリグラム/dl以上になると、倦怠感や眠気などの症状が出ることがあります。また、食後高血糖を改善しようとしてインスリンが過剰に分泌されるため、食後数時間が経過してから低血糖となることがあり、これを『反応性低血糖』といいます。食後しばらく経過した空腹状態、夕方の時間帯での反応性低血糖が多く、震え▽冷や汗▽異様な空腹感▽目まい▽ふらつき―などの低血糖症状が出ることがあります。

食後高血糖による倦怠感や眠気、また反応性低血糖による低血糖症状がみられる場合、2型糖尿病の初期の可能性が高いです。食後高血糖の人が糖質を控えた場合、先述のような食後の血糖値の上昇やインスリンの過分泌が起こらないので、特に症状は自覚しないはずです」

Q.食後高血糖になりやすい人の特徴はありますか。

市原さん「繰り返しになりますが、境界型糖尿病の場合、これは2型糖尿病の前段階です。つまり、2型糖尿病になりやすい人の特徴と同じく、男性▽40代以降▽血縁者に2型糖尿病の人がいる▽過食や運動不足による肥満―などの特徴があります」

Q.診断基準はあるのでしょうか。

市原さん「75グラムのブドウ糖を摂取する前後に、血液検査や尿検査を行う『ブドウ糖負荷試験』で、境界型糖尿病や糖尿病の診断をします。境界型糖尿病の診断に至らなくても、血糖値が正常ではない場合、境界型糖尿病に準じた治療が必要になるのですが、この状態もしくは境界型糖尿病が、いわゆる食後高血糖に近いです。

食後の倦怠感や眠気、食後数時間が経過してからの低血糖症状があれば、食後高血糖である可能性が高く、注意した方がよいといえます」

Q.病院を受診した場合、どのような検査・治療・処方を行うのですか。

市原さん「先述の『ブドウ糖負荷試験』を行います。境界型糖尿病、もしくはそれに準じる状態の血糖値異常であれば、糖尿病への進展を予防することはできます。その手段としては、食事療法や運動療法を行うこと、または、境界型糖尿病に適応のある、食後の血糖値を下げる薬の服用があります。食後高血糖を来す状態ということは、それまで膵臓(すいぞう)の負担が大きかったということなので、何も気にせずに生活した場合、容易に血糖値は悪化します。バランスのよい食事、適度な運動習慣といった生活習慣の見直しと、その継続が大事なのです」

Q.食後高血糖を起こさないよう、予防することはできるのでしょうか。

市原さん「まずは適正な体重を維持することです。患者さんが自身最大の体重になった時期に、2型糖尿病を発症することが多いので、肥満傾向があれば減量をしましょう。あとはやはり、バランスのよい食事と適度な運動を意識し、体重増加を来さないような生活を心掛けることです」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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