ネガティブに思われがちな“世渡り上手” 本当に必要か聞いてみた
世の中には“世渡り上手”な人がいますが、「調子がいい」「信頼できない」など、ネガティブに見られることもあります。世渡り上手であることは必要なのでしょうか。あるいは、実直さ・誠実さこそが必要なのでしょうか。

世の中には“世渡り上手”な人がいます。そうした人たちは、全体を見て優勢な方に加わったり、影響力のある人に取り入って、常に自分に有利なポジションを獲得したりします。“世渡り下手”な人からすると、うらやましくもありますが、一方で「調子がいい」「信頼できない」など、ネガティブな見られ方をすることもあります。世渡り上手であることは必要なのか、あるいは実直さ・誠実さこそが必要なのか、何人かの意見を参考にしながら考えてみたいと思います。
「ごますり」ができ、素直にすごい
まず、世渡り上手を快く思っていない人の声を紹介しましょう。
「『その生き方で本当に楽しいのかな?』と思います。プライドや信頼関係など、さまざまなものを犠牲にしながら有利な地位を手に入れたとして、果たしてそれにどれほどの意味があるのかと思うのです。うわべだけで手にした地位は、とても空虚に感じられます」(38歳女性)
「世渡り上手な人たちをこれまで3、4人、間近で見てきましたが、私ははっきり言って嫌いです。最初は、相手が明るく話しやすいので『いい関係がつくれるかな』と期待します。しかし、相手から『メリットがない』と判断された途端、手のひらを返します。少なくとも私が知る人たちはそうでした。
彼らは利害関係のみでしか人間関係がつくれないため、とても付き合いきれません」(43歳男性)
世渡り上手な人から直接不快なことをされたことがある人は、世渡り上手な人の生き方を認めるのは難しいようです。
続いて、世渡り上手を肯定する意見、あるいは認める意見にはどのようなものがあるでしょうか。
「(世渡り上手な生き方は)素直にすごいと思います。僕がまねしようとしてもおそらくできないし、そもそも抵抗があるのでやる気になれません。例えば、偉い人へのごますりは、僕を含めてほとんどの人が大なり小なりやっていると思いますが、世渡り上手な人は、それをはたから見ていて恥ずかしくなるくらいやるわけです。そういうのが本当に、いろいろな意味で『すごい』と思います」(35歳男性)
これは少し皮肉まじりの言い回しにもなっていますが、自分と全く違う人の生き方を認める姿勢の人もいます。
また、“世渡り上手”な人を心配するこんな声も。
「勤め先に世渡り上手な人が何人かいます。そういう人たちは、世渡り上手な人同士で固まり、有力な“プチ派閥”をつくっています。うまくいっているように見えるのですが、プチ派閥の中では『いつ裏切られるか』『いつ蹴落とされるか』などと疑心暗鬼になり、全く安心できないと思うので大変だと思います。
油断できない人間関係が続くと心が消耗するので、プチ派閥の人たちが少し心配でもあります。『もっと心穏やかに生きていけるのに…』と思ってしまいます」(32歳女性)
狙って“世渡り上手”をしていない
さまざまな見方や言われ方をしている“世渡り上手”な人ですが、本人たちはどう感じているのでしょうか。ネガティブな意味もある言葉の性質上、“世渡り上手”を公言する人にはなかなか出会えないのですが、今回、2人から話を聞くことができました。
まず、「“お調子者”とよく言われる」と話すAさん(38歳男性)です。
「仲良くなった方がよさそうな人に、優先的に時間を割いているだけです。時間は有限なので、別にごまをすっているわけではありません。その相手とはきちんと仲良くなれますから。そうなったら、普通の友人関係とほぼ変わらないです。
『もっときちんとしろ』とか、『誠実さが足りない』とか、お叱りを受けることもあります。その時は本当に反省するのですが、自分なりに相手と誠実に向き合っているつもりなので、どうすればよいのか分からなくなります。結果、叱ってくる人とは距離を取ることになるので、あまり問題はないのですが…」(Aさん)
一方、「“世渡り上手”を狙ってやっているわけではない」というBさん(37歳女性)。
「人から『世渡り上手だね』と何度か言われたことがあり、きっとそうなのでしょう。しかし、私は狙ってやっているわけではないので、そう言われると少し戸惑いがあります。『相手に失礼のないようにしよう』と心掛けているだけなのですが。
嫉妬めいた言葉を投げられたこともあります。相手がこちらに攻撃的な姿勢を見るとき、私も『嫉妬するくらいなら、あなたも私と同じまねすればいいのに』と、つい敵対するような言葉を返してしまいます。
そもそも私には、誰かと争ったり、誰かを傷つけたりする気持ちはないので、そっと見守っていてくれたらうれしいです」(Bさん)
“世渡り上手”な人たちにはその人たちなりの、世間とのあつれきに苦労している部分があるようです。
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