子どもの「ママ」「パパ」呼び、いつ直す? 自然に学ばせるコツとは?
子どもが「ママ」「パパ」と呼ぶ姿はほほえましいものですが、こうした呼び方は「子どもの成長に合わせて修正していった方がよい」と筆者は指摘します。

会社内や、あまり親しくない人の前で自分の親のことを話すとき、「うちのママが」とか、「うちのお父さんが」「うちのおふくろが」「うちのおやじが」と言っている大人を見掛けます。こうした場面は、テレビのインタビューなどで映ることもあります。
家庭内や親しい友達の前では「ママ/パパ」「お母さん/お父さん」「おふくろ/おやじ」でもよいのですが、そうでない相手に対しての言い方としてはどうなのでしょうか。大人が「この間、ママが」と言うとお店の“ママ”、「私のパパが」と言うと「パパ活?」と、それぞれ勘違いされるかもしれません。
敬語と同じく、友達や親しい間柄ではない相手と話すときは、きちんとした日本語を使える子どもに育てたいもの。では実際、どうすればよいのでしょうか。
大人側が「幼児語」を使い過ぎないこと
「パパ」「ママ」は、小さい子どもにとって言いやすい言葉です。ですから、1~2歳の子が「パパ」「ママ」と言ったとき、それを使うことを禁止してはいけません。また、子どもが幼児語の「マンマ(ご飯)」「クック(靴のこと)」と言ったとき、「『ご飯』と言いなさい」「『靴』と言いなさい」と、言い直しを強要することもしてはなりません。どうしてかというと、しゃべるたびに注意されてしまったら、子どもは話をしなくなってしまうからです。
ただし、大人が子どもと一緒になって、「クック履こうね」「マンマ食べようね」とずっと言い続けていると、正しい言葉を学ぶ環境がなくなってしまうので、やめた方がよいでしょう。また、小学校入学前の幼児期から「お母さん」「お父さん」と言わせたいのならば、親が自分のことを指すとき、「ママにちょうだい」ではなく「お母さんにちょうだい」と話してみましょう。「お母さん」という言葉を耳にしていれば、自然と自分でも使うようになります。
友達の間で自分の親のことを話すときであれば、「うちのママが(パパが)」「うちのお母さんが(お父さんが)」と言っても構わないのですが、入試の面接の場などで言ってしまうと、他人からは「?」と思われてしまいます。
私はこれまで多くの小学生を指導してきましたが、低学年の頃は「先生、鉛筆忘れた」とタメ口で話していた子たちが、小学3年くらいから「先生、鉛筆を忘れました」「鉛筆を忘れてしまったので貸してください」と、自然と言えるようになっているように感じていました。ただ、丁寧語はできるようになっても、敬語(尊敬語、謙譲語)は使う機会がないとなかなか身に付かないようです。
親のことを指すときも同様です。高学年になる頃からは、人前で身内のことを話すとき、「母が」「父が」、おばあちゃんやおじいちゃんのことは「祖母が」「祖父が」、おばさん、おじさんのことは「おばが」「おじが」と言えるように教えていく必要がありそうですね。
言葉の使い方は、年齢に合わせて修正していく必要があります。成長に応じた修正ができていないと、例えば、中学校入学を機に「いいかげん恥ずかしいから、もう人前で『パパ』『ママ』は使わないようにして」などと注意しなくてはならない事態に陥ります。
ずっと使っていた言葉を直すのは、なかなかやっかいなことです。日頃から、人前で自分の親のことを話すときの手本を、大人が見せておくことが大切だと思います。
(子育て本著者・講演家 立石美津子)
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