父の好物、母の絶品お好み焼き、実は…「食の好みが合う夫婦はうまくいく」は本当か
夫のためにおいしいお好み焼き、作ってたけど…
笹子さん(75歳、仮名)の夫、忠行さん(仮名)は3年前、78歳で亡くなりました。笹子さんは今、のんきな1人暮らしです。2人の間には3人のお子さん。長男の正志さん(52歳、同)一家は近所に住んでいて、しょっちゅう実家へ遊びに来ます。今回、正志さんからお話を聞きました。
正志さんは子どもの頃から、母親の作るお好み焼きが大好き。「お好み焼きは母さんが作るのに限るよ」と、実家へ遊びに来るといつも笹子さんに焼いてもらっていたそうです。そんなある日、正志さんは笹子さんから衝撃の告白を受けます。
その日も、家族で笹子さん宅に遊びに来た正志さんは、「夕飯はお好み焼きがいいな」と言いました。すると笹子さんが、「もうお好み焼きは作りたくない」と渋い顔。驚いた正志さんが「何で?」と聞くと、笹子さんは「本当はお好み焼きが嫌い」と…。
笹子さんは東京出身で、夫の忠行さんは大阪出身でした。忠行さんの大好物は粉もん。代表的な料理がお好み焼きです。笹子さんはもんじゃ派で、結婚するまでお好み焼きを食べたことがなかったそうです。結婚当初、「お好み焼きを作ってくれ」と言われて、料理本で一生懸命調べて作っても、忠行さんに「まずい。分厚すぎる。中が半生。お好み焼きをうまく作れなかったら離婚だ」と大激怒されたそうです。それから笹子さんは日々練習。専業主婦の彼女の昼食は毎日、練習用のお好み焼きに。そして、忠行さんが満足する一皿を作れるようになり、亡くなるまでお好み焼きを作り続けました。
「嫌ってほど練習用のお好み焼きを食べたから、もう食べたくない。母さんはもんじゃ焼きの方が好きなのよ」という笹子さんに、「確かに、家族でお好み焼きを食べているとき、母さんは食べていなかったか…。お茶漬けとか食べていたな。昔の母親って、夫や子どもたちのお世話ばかりで、『自分も食事を楽しむ』って感じもあんまりなかったから、そんなもんかと思っていたけど。実は嫌いだったなんて」と正志さん。ちなみに、夫婦仲はとてもよく、いつも父の冗談に母はケラケラと笑う、温かい家族だったそうです。
食の好みや価値観が合わないと夫婦仲はうまくいかないのか――。この2つの事例から見るに、必ずしもそうではないと思いませんか。お互いを思う気持ちがあれば、食の好みなど全く関係ありません。逆に、思いやる気持ちがないのであれば、たとえ食の好みがピッタリでも、夫婦仲はうまくいきません。
長い結婚生活で、食事の準備と、それを食べることにかける時間は膨大です。食事のメニューや味にこだわるよりも、「一緒に食べている時間」をいかにハッピーにするかを意識するのが、ラブラブのコツです。「今日は買い物に行けなかったから、サバ缶と卵かけご飯よ」のときでも、その日一日の楽しかったエピソードを話せば最高の食卓になります。食の好みや価値観は本来、夫婦円満に全く関係ないといえるでしょう。
(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

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