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朝晩涼しく、タイミングが難しい…秋の「衣替え」、注意点やコツは?

「衣替え」をするときは、衣類をどのように整理するとよいのでしょうか。収納アドバイザーに聞きました。

衣替えのコツは?
衣替えのコツは?

 暑さも和らぎ、涼しい日が続いていることから、そろそろ、「衣替え」をする人も多いと思います。しかし、この時期は「昨日まで涼しかったのに今日は急に暑くなった」「朝晩は涼しいが日中は暑い」といったように、日や時間帯によって、温度差が大きいケースも発生するため、タイミングを見極めるのが難しいと感じることはないでしょうか。

 また、秋冬用の衣類を出す前に、まずは夏用の衣類を整理する必要がありますが、「うまく収納できない」「服を処分する目安が分からない」と悩むこともあります。急な気温の変化にも対応できるように、衣類を整理することは可能なのでしょうか。また、衣類を効率的に出し入れするにはどうすればよいのでしょうか。

 衣替えのコツや注意点について、収納アドバイザーの岩佐弥生さんに聞きました。

通年着用できる服は手元に

Q.衣替えの一般的な時期や最近の傾向について、教えてください。

岩佐さん「衣替えはこれまで、『春夏・秋冬』(春夏物と秋冬物とを入れ替える形)で6月と10月に行うのが定番でした。この時期は中高生の制服の衣替えの時期でもあるからです。しかし、最近は効率化の観点から、『衣替え』自体をしない人や、年2回ということにとらわれない衣替えをする人が増えています。

また、住んでいる地域や気温により、衣替えに適した時期が変わることもあるため、その判断が難しいと感じる人も少なくありません。『春夏・秋冬』で衣替えをすると、急な気温の変化に対応するのが難しくなることがあります」

Q.では、急な気温変化に対応しつつ、効率的に衣替えをするにはどうしたらよいのでしょうか。衣替えをするときの心構えや手順も含めて、教えてください。

岩佐さん「わが家では夏物と冬物だけ衣替えをしており、春物・秋物はそのまま出し続けています。そうすることで、気温の急変にも対応でき、細かい月日で衣替えを決めなくても十分に対応できます。

春夏・秋冬で衣替えをしたい場合、『通年物コーナー』を手近な場所に作っておくのがおすすめです。涼しくなってきたときにちょっと羽織る服など、年間を通して、あると便利な衣類を数着厳選し、常に取り出しやすい場所に収納しておくことで気温差にもすぐに対応できます。

衣替えは湿度が低い休日など、過ごしやすく、時間に余裕がある日に行うのがおすすめです。長期保管による虫食いや色あせを防ぐためにも、衣類は洗濯やクリーニングをしてから保管しましょう。このとき、クローゼットの中や引き出しの中など、収納する場所も掃除することをおすすめします。

衣類は『掛け過ぎない、詰め込み過ぎない』が鉄則です。衣類を引き出しに入れるときは、重ねるよりも立てて収納することで通気性がよくなりますし、衣類が『見える化』されるので再度、取り出すときに分かりやすくなります。なお、衣替えは不要な衣類を整理するチャンスでもあります。衣類の出し入れ時に『いる・いらない』を判断する必要に迫られるからです。衣替えを機に不要な服は処分しましょう」

Q.一方で「捨てるのがもったいない」「捨てたら後悔する」と考えて、衣類の処分が進まない人もいるようです。衣類を処分するときの目安やコツについて、教えてください。

岩佐さん「例えば、『虫食いや色あせている服』『汚れが落ちない服』『形崩れや破れ、ボタンが取れている服』『サイズダウンした服』『流行物の服』といった衣類は着用しないケースが多いです。これらの衣類を保管しても、今後も着ることはないでしょう。しかし、『もったいない』『後悔するかも』といった意識が処分の判断を鈍らせるのです。

処分するかどうか迷う衣類があった場合、私は一度、その衣類を着て、鏡で確認するようにしています。着ることで、客観的に判断できるようになるからです。衣類のボタンが取れているものは『ボタンを付け直してでも、翌年も着るかどうか』で判断し、ボタンを付け直すまでもないと思う衣類であれば、手放す方向で考えましょう。

しかし、どうしても手放せない場合は『次のシーズンまでは残してもよい』といったルールを設けるのもよいでしょう。翌シーズンに着ることがなければ、そのときは手放しましょう。なお、『手放す』とは、捨てることだけを指すのではありません。例えば、不要な衣類の回収サービスを通じて、世界中の子どもたちにワクチンを寄付する事業者もあります。

捨てることに抵抗があれば、そうした事業者に衣類を提供するのもよいでしょう。サービスの利用者からは『誰かの役に立つことで、衣類を気持ちよく手放せる』いう声もよく聞かれます」

Q.衣替えで着なくなった衣類はできるだけ、ハンガーに掛けて保管した方がよいのでしょうか。それとも、収納ボックスなどで畳んだ状態で保管した方がよいのでしょうか。

岩佐さん「衣類には、ハンガーに掛けて保管した方がよい衣類と畳んで保管した方がよい衣類があります。適切な方法で保管することで、衣類の形崩れやシワを防ぐことができます。例えば、スーツやワイシャツ、ブラウス、コート、シルクなど、縦糸と横糸が交差した衣類はハンガーに掛けて保管した方がよいです。

また、普段からハンガーに掛けて保管している衣類は洗濯後やクリーニング後、『不織布カバー』を使って保管すると、他の衣類と区別しやすくなるほか、通気性がよくなり、ほこりが付着しにくくなります。一方、セーターやニット、トレーナーなど、編み物系の衣類は、畳んで保管してください。収納ボックスに入れる場合は中身が何か分かるように『ラベル』を貼りましょう。

オフシーズンの衣類を高い場所で保管するときは、不織布のような軽い素材でできた、持ち手付きの収納ボックスを使うのがおすすめです。このほか、『オンシーズン用の衣類』『オフシーズン用の衣類』といった形で、あらかじめ収納スペースを分けておき、衣替えのたびに衣類を入れ替えるとさらに使いやすくなります」

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岩佐弥生(いわさ・やよい)

整理収納コンサルタント

キッチンショールームでの収納コーディネート、企業の収納コンサルタントなど、幅広く活動中。また、喋(しゃべ)り手ならではの聞きやすく分かりやすい収納セミナーが好評。オリジナル収納ラベルのショップもプロデュースしている。保有資格は、整理収納アドバイザー2級認定講師、整理収納アドバイザー1級、企業内整理収納マネージャー認定講師。iGuild(アイギルド)(https://www.iwasayayoi.com/)。

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