菅首相退任へ 専門家に聞く、印象的な歴代首相の“ラスト会見” 何を語るべき?
最後の会見に期待するのは?
Q.歴代日本の首相による退任会見や辞任会見で、次に印象的な場面や言葉を教えてください。
山口さん「『あなたと違うんです』を挙げます。2008年、福田康夫首相(当時)の辞任表明会見の中で、記者の質問に答える中で出た言葉です。記者の質問は『総理の会見は、国民にはひとごとのように聞こえるという話が出ています。今日の会見を聞いても、私は率直なところ、ひとごとのような印象を受けました。(第1次)安倍晋三内閣の辞任に続き、このような形で辞めることは、自民党を中心にどのような影響を与えると思いますか』でした。
この質問に福田氏はこう答えました。『(自民・公明政権が)順調に行けばいいが、私の先を見通すこの目の中には、決して順調ではない可能性があります。ひとごとのようにとあなたはおっしゃったけど、私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたと違うんです』。公的な場であれ、プライベートな場であれ、条件がはっきりしない『比較表現』は口にしない方がよいと言われています。
『あなたと違う』は『あなたとはモノの見方がちがう』とも『あなたとはレベルが違う』ともとれます。福田氏の発言の真意は分かりませんが、ひとごとのように聞こえると言われて、カチンと来て、『君とはレベルが違うのだ』と言いたかったのだと、私も含め多くの国民は受け取っています。一般論ですが、退任の記者会見で世論や記者の批判に腹を立てて反論すれば、『晩節を汚す』ことになってしまいます」
Q.ほかに、首相の退任会見や辞任会見で印象的なものはありますか。
「鳩山由紀夫首相(当時)の2010年の辞任演説の中の『私はしばしば宇宙人だと言われますが、それは今の日本の姿ではなく、5年、10年、20年先の日本の姿を常に国民に申し上げているから、何を言っているか分からないと思われているのではないかと思います』を挙げます。
2009年8月の総選挙で民主党(当時)が圧勝し、政権交代で鳩山由紀夫内閣が発足しましたが、それから、たった8カ月あまりで辞任演説を行うことになってしまいました。演説で、政権に対する国民の信頼が得られなくなってきたこと、普天間問題で、少なくとも、沖縄県外に移転するとの公約が実現不可能になったこと、自分自身の秘書に政治資金規正法違反の問題があったことなどを語りました。
『スキャンダル等による辞任でなければ、ご自身が信じる国の将来のあるべき姿をしっかりと話すべきだと思います』と私は最初に話しました。鳩山氏の場合、政治資金のスキャンダルだけでなく、本人が演説の中で話した幾つかの理由による辞任だったのですが、それにしても失政、失敗の話ばかりです。
そんな中での締めくくりのコメント『5年、10年、20年先の日本の姿を常に国民に申し上げているから、何を言っているか分からない』は、失礼ですが、私にはブラックジョーク(悪い冗談)にしか聞こえませんでした」
Q.菅義偉首相の最後の会見に何を期待しますか。
山口さん「実績とともに、さまざまな批判に対するご自身の考え、さらにご自身が考える、将来の日本のあるべき姿についての話を期待します。また、総裁選への出馬を断念した理由についても『新型コロナ対策に専念するため』だけなのか、他に理由があったのか、あったとすればどんな理由であったかも正直に話してほしいと思います。
『菅首相は続投に強い願望を持ち続けたが、勝ち目がなくなったことで総裁選出馬を断念した』との報道もあります。この辺りの内情を正直に話していただければ、『有終の美を飾る』どころか、自民党改革の端緒を開いた政治家として、歴史に名を残すかもしれないと思うのですが…あり得ない期待ですね。ブラックジョークです」
(オトナンサー編集部)

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