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新首相誕生へ 国民の心に響く「スピーチ」に必要な要素とは何か

演説がうまかった首相は?

Q.記者会見や演説で「この人はうまかった」「この人は聞く人の心に届いた」と思われる首相を挙げてください。

山口さん「記憶に新しい方から、小泉純一郎氏、田中角栄氏、池田勇人氏を私は挙げます。3氏とも、首相としての功績は毀誉褒貶(きよほうへん=ほめたり、けなしたりする世間の評判=)が大きい人物ですが、『話が聞く人の心に届く』という点では群を抜いていると思います。

小泉氏の場合、『私が、小泉が、自民党(の古い体制)をぶっ壊します!』『構造改革なくして成長なし』『郵政民営化に反対するものはすべて抵抗勢力だ』など、人々の心を打つ分かりやすい『ワンフレーズ』で、2005年の衆議院議員総選挙で自由民主党を圧勝に導いたと言われています。もっとも、郵政民営化以降のゆうちょ銀行やかんぽ生命の体たらくを見聞きするにつけ、この政策は正しかったのか疑問に思う人も少なくないかと思います。

1960年から約4年間続いた池田内閣を率いた池田勇人氏は高度経済成長を成し遂げると同時に、日本の国際地位の向上に大きく貢献した首相だと言われています。『経済は池田にお任せください』『月給を2倍にします』など、分かりやすい言葉で人々の心を捉えました。

首相に選ばれる前の大蔵大臣の時の国会答弁の発言が誤解され、『貧乏人は麦を食え』と発言したと報道されて、人々の怒りを買いましたが、それは誤解で『私はうそは申しません』と切り返して、『国民所得倍増計画』を分かりやすく国民に説明し、成功に導いたと言われています。ちなみに、岸田文雄前政調会長は池田氏の国民所得倍増計画にちなんだ『令和版所得倍増計画』を総裁選の公約の一つとして打ち出しています。

田中角栄氏については、今でも、書店にたくさんの書籍が並び、ネットには情報があふれています。私が好きな田中氏の言葉は『政治家を志す人間は、人を愛さなきゃダメだ』です。私は田中氏の特別なファンではありませんが、今後の首相にも『人を愛する政治家』であることがよく分かるスピーチを期待します」

Q.一般の人も、人前でのあいさつや話をする機会に応用できる部分があれば教えてください。

山口さん「情報をしっかりと伝えたいときは、田中角栄氏の言葉にあるように初めに結論を言うのがよいと思います。

例えば、『私は○○さんと結婚します』とまず結論を言えば、『なぜ?』と聞きたくなる人もいるはずです。理由は3つほど挙げましょう。角栄氏の『分かったようなことを言うな。気の利いたことを言うな。借り物でない自分の言葉で、全力で話せ』を一言でいえば、『自分の気持ちをそのまましっかりと話せ』ということだと思います。角栄氏のこの言葉は、情報を伝えるときに非常に効果的な話し方だと思います。

一方、何らかの情報を伝えるというよりは親しみを伝えたい、聞く人の気持ちを明るくしたいというようなスピーチもあると思います。そんなときは池田氏の『私は、うそは申しません』、小泉氏の『痛みに耐えてよく頑張った! 感動した! おめでとう!』などのワンフレーズを借りて話し始めると、聞き手の心をグイと引き寄せられるかもしれません」

(オトナンサー編集部)

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山口明雄(やまぐち・あきお)

広報コンサルタント

東京外国語大学を卒業後、NHKに入局。日本マクドネル・ダグラスで広報・宣伝マネージャーを務め、ヒル・アンド・ノウルトン・ジャパンで日本支社長、オズマピーアールで取締役副社長を務める。現在はアクセスイーストで国内外の企業に広報サービスを提供している。専門は、企業の不祥事・事故・事件の対応と、発生に伴う謝罪会見などのメディア対応、企業PR記者会見など。アクセスイースト(http://www.accesseast.jp/)。

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