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赤い発疹が帯状に…「帯状疱疹」ってどんな病気? 予防法など解説

顔や体に突然、赤い発疹が現れる「帯状疱疹」という病気があります。どんな原因の病気で、予防法はあるのでしょうか。

帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは?

 顔や体に突然、赤い発疹(ほっしん)が現れる「帯状疱疹(ほうしん)」という病気があります。赤いポツポツとした発疹やそれに伴う痛みが「体の片側」のみに起こるのが特徴で、特に夏の疲れが出やすい今の時期(初秋)は注意が必要といいます。最近では、新型コロナウイルスワクチンを接種した際の副反応の一つとしても報告があるようです。帯状疱疹の症状や原因について、医師の市原由美江さんに聞きました。

免疫力低下で発症しやすく

Q.帯状疱疹とは、どのような病気でしょうか。

市原さん「帯状疱疹とは、体の片側に痛みと発疹が帯状に現れる病気で、水ぼうそう(正式名称は『水痘=すいとう=』)を引き起こす病原体である『水痘・帯状疱疹ウイルス』が原因です。このウイルスは、水ぼうそうにかかった人が終生持っているもので、水ぼうそうが治っても体の中に潜伏し、加齢やストレスで免疫力が低下した際に帯状疱疹として発症します。

帯状疱疹としては人に感染しませんが、帯状疱疹を発症した人が免疫力の弱い赤ちゃんに接すると、水ぼうそうとして感染することがあります。最近は新型コロナウイルスワクチンの副反応の一つとしても、帯状疱疹の報告がありますが、報告数が少ないため因果関係が不明であり、今後の研究が期待されるところです」

Q.体の左右、どちらか片側だけに症状が現れるのはなぜですか。

市原さん「水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節(神経細胞や神経繊維が集まって結節状に膨らんだ部分)に潜伏しており、そこからの神経を伝ってウイルスが皮膚に到達し、痛みや発疹を引き起こします。その神経が支配している領域が片側だけのことが多いためですが、両側に出ることもあります」

Q.帯状疱疹を発症しやすい人の特徴を教えてください。

市原さん「水ぼうそうにかかったことがある人が発症します。50〜70代の中高年に多いですが、若い人にも起こります。糖尿病やステロイド内服中で免疫力の弱った人も発症しやすく、健康な人でも、ストレスや過労で免疫力が弱まるとかかりやすくなります」

Q.帯状疱疹の前兆はありますか。

市原さん「一般的に、ピリピリとした痛みが発疹よりも先に出ることが多いので、頭痛や腰痛、狭心痛などと勘違いすることがあります。そうした痛みが続く場合、皮膚症状がないか注意した方がよいでしょう」

Q.病院を受診する症状の目安はありますか。また、何科を受診するとよいでしょうか。

市原さん「帯状疱疹の場合、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を内服しますが、早めに内服しないと効果が乏しいことがあるほか、皮膚症状が完治した後も痛みが持続する『帯状疱疹後神経痛』のリスクを軽減する効果が期待できるため、帯状疱疹に特徴的な発疹とその部位の痛みを自覚したら、早めに病院を受診しましょう。

受診するのは基本的には皮膚科ですが、内科で診てもらえることもあるため、事前に確認しましょう。帯状疱疹後神経痛の場合はペインクリニックを受診することもあります」

Q.帯状疱疹の治療方法や完治までの期間を教えてください。

市原さん「抗ウイルス薬を1週間程度内服します。痛みに対し、必要であれば消炎鎮痛剤を使い、痛みが強いときは『神経ブロック』という注射での治療を行います。抗ウイルス薬を飲まない場合は完治までに約1カ月かかりますが、飲むと1〜2週間程度で治ります。ただし、先述した帯状疱疹後神経痛は長期間、もしくは、ずっと治らないこともあります。また、帯状疱疹は一般的には再発しませんが、ごくまれに再発する人がいます」

Q.帯状疱疹はどのように予防すればよいのでしょうか。

市原さん「免疫力が落ちた際にかかりやすくなるため、十分な睡眠や休息を取り、規則正しい生活を心掛けましょう。また、2016年から50歳以上の人を対象に帯状疱疹ワクチン接種が可能になりました。帯状疱疹の発症率を下げるだけではなく、かかった場合でも、帯状疱疹後神経痛の発症率を下げてくれる効果があります。心配な人は検討してみてください」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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