オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

魅力は何? ホテルの「ルームサービス」はなぜ、ここまで高額なのか

ホテルの「ルームサービス」の価格を見て、驚いた経験がある人もいると思いますが、なぜ、ホテルのルームサービスはあれほどまでに高額なのでしょうか。

ルームサービスはなぜ高い?
ルームサービスはなぜ高い?

 シティーホテルや高級ホテルなどは宿泊時、部屋まで食事を運んでくれる「ルームサービス」を利用できます。ただ、メニューで注文したい料理を見つけても、あまりに高額なことに驚いた経験のある人も多いのではないでしょうか。宿泊しているホテルのレストランで同じ料理を注文するよりも価格が倍以上することもあります。

 フードデリバリーサービスでも、ここまで高額にはならないのになぜ、ホテルのルームサービスはあれほどまでに高額なのでしょうか。ホテルジャーナリストの高岡よしみさんに聞きました。

コストを考えると適正価格

Q.宿泊しているシティーホテルのレストランで、例えば、1000円の親子丼がメニューにあったとします。これをルームサービスで頼んだ場合、価格はどれくらいになることが多いのでしょうか。

高岡さん「ホテルによって価格設定はさまざまですが、通常の価格の1.5~2倍程度となっていることが多いです。ホテルのレストランで1000円の親子丼があれば、ルームサービスで頼めば1500~2000円程度ではないでしょうか。中には、ルームサービスの価格にサービス料が加算され、これよりも高くなるホテルもあります」

Q.シティーホテルや高級ホテルのルームサービスは、注文したくても価格がネックになり、諦める人もいると思います。なぜ、あれほどまでに高額なのでしょうか。

高岡さん「ルームサービスを利用した場合は、レストランで食事をするよりも、手元に料理などが届くまでに多くの人が関わります。具体的には、部屋から注文を受け、レストランに取り次ぐフロント係、部屋に直接出向き、食事を運び、食事後に食器を下げる係などです。つまり、レストランで食事をする場合とは比べ物にならないほど多くの人件費がかかります。

また、ルームサービスでは、どれくらいの人がどれだけ利用するかは実際に注文があるまで分かりません。そのため、ホテル側は、ルームサービスの急な注文にも即座に対応可能な設備や人員を常に確保しておく必要があります。これらのコストを考えると、ルームサービスの価格はどうしても、レストランよりも高くなってしまいます。

価格のためにルームサービスの利用をためらう人が多いのは事実です。最近では、ルームサービスを廃止するホテルも出てきています」

Q.人件費など多大なコストがかかることは分かりましたが、ルームサービスの価格は適正なのでしょうか。

高岡さん「ホテルのルームサービスについての調査によると、ルームサービスは一般的なホテルの収益の1%しか占めていないといわれています。コストを考えると適正といえると思います。ルームサービスは、一定の時間帯に安定した客数で営業しているレストランに比べて、一品一品の製造コストが高くなります。加えて、ルームサービス係の人件費も加わるため、実際は利益よりも負担の方が大きくなっているホテルもあるようです」

Q.ルームサービスを多くの人に利用してもらうために、ホテル側が行っていることはありますか。

高岡さん「ルームサービスに付加価値を付け、利用してもらう努力をしているホテルもあります。例えば、ただ料理を運ぶだけではなく、記念日の花の手配や飾り付け、サプライズケーキなどレストランでは体験できないおもてなしがあるルームサービスを提供するホテルも多く、記念日などで少しぜいたくがしたいという人に人気です。

最近はコロナ禍の影響で、プライベートな空間でゆったりと食事をしたいという要望から、比較的安価にルームサービスが受けられるホテルも増えてきています」

Q.では、私たちはルームサービスをどのようなケースで利用するとよいのでしょうか。

高岡さん「ルームサービスは通常のレストランと比べて、どうしても高額になってしまいます。しかし、レストランとは異なり、よりパーソナルなおもてなしを体験ができるのがルームサービスの醍醐味(だいごみ)の一つです。そのため、『少し高くても最高級のおもてなしを受けたい』『非日常を味わいたい』という人にはうってつけのサービスです。

また、サプライズにも柔軟に対応してくれるホテルも多いので、記念日や特別な日に利用すれば、忘れられない思い出となるでしょう。時間や他人の目を気にせず、ゆったりと食事が楽しみたいという人にもルームサービスはおすすめです。仕事柄、『バスローブ姿でルームサービスを受け取ってもよいのですか?』『食べ終わった後のお皿はどうしたらいいですか?』と質問を受けることがあります。

バスローブを着用していても大丈夫です。食事の後はワゴンで運ばれていれば、ワゴンごと廊下に出しておき、廊下を通行する人が不快にならないようにナプキンなどでお皿をカバーしましょう。あるいは、電話をして、下げに来てもらうのもよいでしょう。マナーも心得ながら、非日常的なルームサービスを楽しまれるとよいと思います」

(オトナンサー編集部)

高岡よしみ(たかおか・よしみ)

ホテルジャーナリスト、人材育成コンサルタント

有名ホテルに勤務し、顧客部フロアサービス課で接客サービスのスキルとホスピタリティーマインドを身に付ける。その後、モデルに転身し、オリエンタルで中性的な魅力を放つ独特の存在感が認められ、欧州やアジアのコレクションなどで活躍。出産後はハイエンドな舞台で磨かれた、相手を魅了するスキルを生かし、女性の美しさやマナーをテーマにした講演を行い、反響を呼ぶ。現在は研修講師として企業の新人や管理職研修を行うほか、ホテル・旅館や店舗運営のコンサルティングなども手掛ける。

コメント

1件のコメント

  1. 至れり尽くせりだけど、値段にビビってホテル内のベーカリーでパンいろいろ買って夜食にしたことがあるよ。目移りして買いすぎたせいで結局おにぎりセット頼んでも、いうほど変わらないぐらいの金額になってしまったけど