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ホテルの客室に「絵画」が飾られる理由とは “清めのお札隠すため”は本当?

ホテルの客室には「絵画」が飾られていることが多いものですが、なぜでしょうか。客室で事件事故があり、清めのお札を張っていることを隠すためでしょうか。

なぜ、ホテルの客室に絵画?
なぜ、ホテルの客室に絵画?

 ビジネスホテルや観光地のホテルなどにチェックインして客室に入ると「絵画」が飾られていることが多いものです。特に、全国にチェーン展開しているホテルでは、客室に絵画が飾られているのを見ることが多いのではないでしょうか。

 なぜ、ホテルの客室には絵画が飾られていることが多いのでしょうか。ネット上には「絵画の裏にお札(ふだ)が張られている場合、その部屋で事件事故があり、お札で清めている」といったうわさもありますが、事実でしょうか。ホテルジャーナリストの高岡よしみさんに聞きました。

根底にホスピタリティーの精神

Q.なぜ、ホテルの客室には絵画が飾られていることが多いのでしょうか。

高岡さん「超高級ホテルから、ランクが高くないホテルまで、絵画などの装飾品が飾られていることが多いです。その理由は、宿泊客にリラックスしてもらいたいというホスピタリティーの精神からです。特にビジネスホテルの客室の場合、白い壁だけで無機質になりがちです。そこで、ホテル側のおもてなしの一つとして、リラックスできるスペースの提供や雰囲気づくりのために、客室に絵画が飾られていることが多いです」

Q.飾られている絵画は直筆のものが多いのでしょうか。あるいは印刷ものの方が多いのでしょうか。

高岡さん「飾られている絵画が直筆か直筆でないかは、ホテルや客室のランクによります。『THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海』の客室には、著名作家の絵画や書の作品が飾られていました。もちろん直筆です。このホテルには、アンティーク家具や北欧家具などが配されていて、客室の窓から望む美しい海と空、和の建築に調和した絵画や、選び抜かれた調度品など、館内を『小さな美術館』と称して、おもてなしをしています。

一方、ビジネスホテルでは、版画や写真作品などのプリントが飾られている場合が多いです。宿泊客側は特に意識しないかもしれませんが、やはり、出張の疲れを癒やし、リラックスさせてくれる効果があります。また、たとえ安価なプリント作品でも、客室の装飾品は『ホテル宿泊』という、普段とは異なる夜の特別な感覚を味わう一助にもなっていると思います」

Q.ホテルによっては、特定の画家の作品のみ客室に飾るなど、こだわりがあるのでしょうか。

高岡さん「こだわりを持って、飾っているホテルはあります。先述した『THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海』は著名な画家の片岡球子やジョアン・ミロの絵画、書家の井上有一のダイナミックな書など、特定の画家や書家の作品を意識して展示しているようです。

他にも『ホテル雅叙園東京』では、創立された当初から、『竜宮城』のような夢の空間づくりを目指してきたそうです。多数の文化財級の貴重な美術品を収集して展示しており、まるで、『館内の美術鑑賞のための宿泊』と呼べるような究極の美を鑑賞してもらうことにこだわっています」

Q.「絵画の裏にお札が張られていることもあるので確認した方がよい」といううわさもネット上ではよく見られます。仮に客室で何らかの事件事故が起きた後、ホテル側が宿泊客に分からないように、絵画の裏にお札を張ることがあるのですか。

高岡さん「ホテル側が絵画の裏にお札を張ることはありませんし、仕事で取材をする多くのホテル関係者からも聞いたことがありません。そもそも、ホテル側は宿泊客にゆっくりとくつろいでもらいたいのに、客室の中のどこかにお札を張るなど、わざわざ、宿泊客を不安にさせてしまうことをするとは考えにくいです。

まれに、以前の宿泊客のいたずらで張られていることはあるようですが、その場合は、そっとホテル側に伝えるか、そのままにして気にしない方がよいと思います」

Q.お札は張らないとのことですが、客室に入ると、うわさを信じてどうしても気になり、絵画の裏を確認する人もいるようです。

高岡さん「先述したように、お札は張られていないので、どうぞ安心してお泊まりください。仮にお札が張られていても、ほぼ確実にいたずらです。何よりも、絵画などの装飾品はホテルの備品なので触らないでください。絵画の裏を確認する行為により、絵画が床に落ちるなどして破損させれば、それこそ問題になります」

Q.絵画以外に、客室に飾られる装飾品は例えば、どのようなものがありますか。ホテル独自の装飾品があれば、具体的に教えてください。

高岡さん「先日、私が宿泊したアメリカ資本のホテルでは、絵画ではなく、有名な染色家のタペストリーが飾られていました。他に、インバウンドを意識した高級ホテルでは、絵画の代わりに番傘をモチーフにした、日本らしい壁掛け照明がありました。

また、客室の装飾だけではなく、ロビーのインテリアや照明、客室のクッションやランプシェード、アメニティーに至るまで、各ホテルで独自の感覚でホスピタリティーを演出しているところも増えています」

(オトナンサー編集部)

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高岡よしみ(たかおか・よしみ)

ホテルジャーナリスト、人材育成コンサルタント

有名ホテルに勤務し、顧客部フロアサービス課で接客サービスのスキルとホスピタリティーマインドを身に付ける。その後、モデルに転身し、オリエンタルで中性的な魅力を放つ独特の存在感が認められ、欧州やアジアのコレクションなどで活躍。出産後はハイエンドな舞台で磨かれた、相手を魅了するスキルを生かし、女性の美しさやマナーをテーマにした講演を行い、反響を呼ぶ。現在は研修講師として企業の新人や管理職研修を行うほか、ホテル・旅館や店舗運営のコンサルティングなども手掛ける。

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