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食品ロスなどデメリットが多いのでは? ホテルの朝食でバイキングが多い理由

朝食がバイキング形式のホテルをよく目にしますが、数多くの料理を用意するコストや食品ロスの発生など、ホテル側にデメリットが多いように思います。なぜ、ホテルではバイキング形式の朝食が多いのでしょうか。

なぜバイキング形式の朝食が多い?
なぜバイキング形式の朝食が多い?

 ホテルに宿泊した際の朝食は、バイキング形式の所が多くあります。宿泊客からすると、好きな料理を好きなだけ食べられることからメリットが大きく、この形式は喜ばれていると思います。しかし、ホテル側からすると、料理を多めに作る必要がありますし、和食から洋食まで多数の料理を用意する必要があり、食品ロスも出やすく、デメリットが多いのではないでしょうか。個別に朝食を提供した方がホテル側の負担は少ないように思うのですが、なぜ、ホテルではバイキング形式の朝食が多いのでしょうか。ホテルジャーナリストの高岡よしみさんに聞きました。

個別提供より収益性高い

Q.以前は、ホテルでも個別に食事を提供するのが一般的だったと思います。なぜ、ホテルではバイキング形式の朝食が多くなったのでしょうか。

高岡さん「食事にバイキング形式を採用して経費を削減することで、利益を増やせることが最大の理由です。個別に食事を提供するよりも、バイキング形式の方が、ホテル側にとっては収益性が高いのです。近年、チェーン展開するホテルの新規開業など、ホテルの数が急増した影響で、宿泊客の争奪や価格競争が激化していることが背景にあります。

個別に食事を提供する形式では、タイミングよく料理をテーブルに運んだり、皿を下げたりすることや、水や飲み物の対応もあって、多くの人員(人件費)が必要になります。一方、バイキング形式では、大きな皿やトレーが積み置かれていて、客側が料理を取ってくれるので、人員(人件費)が大きく削減できます」

Q.なぜ、朝食バイキングをセールスポイントにしているホテルがあるのですか。豪華な夕食や露天風呂などに比べると、インパクトが弱いように思います。

高岡さん「1泊であれ、連泊であれ、宿泊客がチェックアウト前の最後に受けるサービスは『朝食』です。最後に『いいホテルだったな』と宿泊客に印象付けるために、ホテル側は朝食に、最大級の創意工夫を凝らすからです。

例えば、朝食でトリュフやトロ、ウニといった高級食材や、その土地の食材を使った料理が食べ放題となると、そのホテルの印象は一段と良くなります。食材や料理に工夫を凝らす一方で、人件費があまりかからず利益率の高いバイキング形式を採用するのが合理的です」

Q.夕食の場合は、個別に食事を提供するホテルが多いと思います。なぜ、夕食では、バイキング形式が少ないのでしょうか。

高岡さん「ホテルのレストランで、夕食に高級食材や手の込んだ料理が提供されるのは、多くの宿泊客が期待していることだと思います。つまり、夕食には、料理だけではなく、雰囲気やサービスも含めた“非日常の特別感”を求めている宿泊客が多いように思います。仮に、夕食がバイキング形式ですと、そうした期待を裏切る可能性もあり、ホテルの評判に関わると見られているからではないでしょうか」

Q.収益性はあるとはいえ、用意する料理が多く、手間がかかったり、食品ロスが大量に発生したりするなど、バイキング形式の食事は、ホテル側にとってデメリットも大きいように思います。実際はどうなのでしょうか。

高岡さん「実は、メリットの方が大きいのです。個別に提供する形式ですと、メニュー通りの食材を仕入れ、賞味期限も気にしなければなりません。一方、バイキング形式は、料理の内容を毎日変えることができるので、食材が余る可能性が低くなり、賞味期限を気にするのも最低限で済みます。

また、個別に提供する形式では、宿泊客が苦手な食材を残してしまうことがありますが、バイキング形式は、自分が好きなものを選べるので、食品ロスの観点からもこちらの方がよいということになります」

Q.コロナ禍でバイキング形式をやめ、個別に食事を提供するホテルも増えています。コロナ禍が終わると、バイキング形式に戻るのでしょうか。あるいは、個別での提供が続くのでしょうか。

高岡さん「バイキング形式は、一定の料金で好きなだけ食べられてお得感があり、たくさんの種類を楽しむことができるという意味で、今も昔も変わらず多くの人にとってワクワクするものではないでしょうか。

そのため、ワクワクする宿泊客の心理と、経費を削減し収益性を上げたいホテル側を考えると、バイキング形式は良い形式といえます。ビジネスホテルであれ高級ホテルであれ、ホテル側の感染防止の努力は不可欠ですが、宿泊客の印象に残るような創意工夫を凝らした朝食バイキングはいずれ復活し、それを提供するホテルが生き残り続けると思います」

(オトナンサー編集部)

高岡よしみ(たかおか・よしみ)

ホテルジャーナリスト、人材育成コンサルタント

有名ホテルに勤務し、顧客部フロアサービス課で接客サービスのスキルとホスピタリティーマインドを身に付ける。その後、モデルに転身し、オリエンタルで中性的な魅力を放つ独特の存在感が認められ、欧州やアジアのコレクションなどで活躍。出産後はハイエンドな舞台で磨かれた、相手を魅了するスキルを生かし、女性の美しさやマナーをテーマにした講演を行い、反響を呼ぶ。現在は研修講師として企業の新人や管理職研修を行うほか、ホテル・旅館や店舗運営のコンサルティングなども手掛ける。

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