お見合い相手の父親は“故人”と勘違い 情報整理できなかった36歳男性に交際終了の宣告
お見合いで「交際希望」をもらえるのは、自分の言葉を相手がどう受け取るのかが分かる人、相手の気持ちを想像できる人だと筆者は言います。3つのケースを紹介します。

お見合いで「交際希望」を頂けるのはどんな人でしょうか。それは、自分の発した言葉を相手がどう受け取るのかが分かる人。お相手の立場に立って、お相手の気持ちを想像できる人です。
お見合いは当然ながら、「初対面の場」です。どんな会話をしたら、2人が気持ちよくコミュニケーションを取れるのか、一緒に考えていきましょう。
地声が大きく、会話が周りに丸聞こえ
ある日曜日、太田美代子さん(37歳、仮名)は藤田章司さん(41歳、仮名)とお見合いをしました。場所は、都内のファッションビルに入っている落ち着いたカフェの予約席でした。
予約席の場合、入り口で店員さんに「予約してある○○です」と自分の名前を告げて、席まで案内していただきます。そして、席で待ち合わせするのが通例です。美代子さんが5分前にそのカフェに到着すると、入り口で章司さんと思われる男性に出くわしました。
「藤田さんですか?」
「そうです。太田さんですか?」
「はい。今日はよろしくお願いします」
そうあいさつをし合いましたが、そのとき、美代子さんは章司さんの地声がとても大きいことに驚きました。ただ、これまでのお見合いで声が小さい人に出くわしていて、会話が聞き取りづらかったことがあります。そのときにお見合いがとても長く感じられたので、「それよりはまだいいか」と思いました。
ところが、2人そろってカフェの中に入っていくと、対応してくれたカフェの店員さんに、章司さんはこれまた大きな地声で言ったのです。
「結婚相談所で予約をしている藤田と太田です」
その声は店中に響き渡りました。数人のお客さんがこちらに視線を向けたのを感じて、美代子さんは顔から火が出るほど恥ずかしくなり、もう、お見合いをせずにこのまま帰りたい気持ちになりました。
席に案内されて注文を終えると、章司さんはまた大きな声で話を続けます。
「太田さんは、もうどのくらい婚活をしているんですか?」
「今の結婚相談所に入って、どのくらいたつんですか?」
「何人くらいとお見合いしましたか?」
大きな声で次々に繰り出されてくる婚活関連の質問に、美代子さんはなるべく小さな声で答えていきました。しかし、周りの席の人たちに章司さんの声が丸聞こえになっているかと思うと恥ずかしさでいたたまれなくなり、30分が3時間くらいに感じられました。
40分を過ぎたあたりで、いったん話が途切れたので、美代子さんは「では、そろそろ。今日はありがとうございました」と半ば強引に席を立ちました。
やっと解放される――。安堵(あんど)の思いでレジに向かったのですが、章司さんはレジのところまで来ると、美代子さんに言いました。
「お見合いでは男性が支払った方がスムーズにいくって、仲人から言われているんですけどね…」
そこまで言うと、お財布を開くそぶりも見せずに、伝票を持ったまま突っ立っています。微妙な間があったので、美代子さんは言いました。
「あの、私の分はお支払いしますよ」
「そうですか。では、1200円お願いします」
その声も驚くほど大きく、一刻も早く、この場から立ち去りたくなり、千円札に100円玉2つをお財布から出すと、それを渡して言いました。
「では、私はこれで失礼します。ありがとうございました」
そして、逃げるようにカフェを立ち去ったというのです。
地声が大きいか小さいかは、人によってそれぞれです。大きな声の人に「もっとボリュームを落としてしゃべってください」と言って、その場は直っても、またすぐに元に戻ってしまうでしょう。小さな声の人もしかりです。これまでずっと、その声で生活をしてきたのですから、本人にとってはその声が快適で違和感がないのです。
こうした場合、「その声の大きさでも大丈夫」というお相手を見つけるしかないですよね。ただ、お見合いの席で婚活歴の話を聞くのは大きくNGです。そんなことを聞かれて、心地よいと思う人はまずいません。
家族や職業を事細かく聞かれて
佐藤直子さん(35歳、仮名)は大沢正一郎さん(41歳、仮名)とのお見合いを終えた直後に「今日の方はお断りでお願いします」と連絡を入れてきました。憤慨している様子だったので、何があったのかを尋ねました。
「ティーラウンジに着席するなり、プロフィルに書いてあることを次々に質問してきました」
それはまるで、警察官の職務質問のようだったと言うのです。
「お父さんはまだ現役で働かれているようですけど、どんな仕事をしているのですか?」
「学校の先生ですよね。今、先生ってめちゃくちゃ忙しいっていうじゃないですか。残業手当とかもないんでしょう? 先生ってどのくらいお給料をもらえるんですか?」
「そんなに忙しかったら、食事も作れませんよね。食事はお母さんに任せきりですか? あ、でも昼は給食か」
「勤めている学校はどこにあるんですか? あなたの住んでいる場所はどこですか? 通勤時間はどのくらいですか?」
直子さんは「父は私と同じ公務員です」「忙しいですが好きな仕事ですし、お給料は普通の公務員並みに頂いています」「食事は主に母が用意しますが、お休みの日は私が簡単に作るようにしています」「勤めている学校は都内です」…こんな具合に、全てをぼかして大まかに答えました。
結婚相談所でのお見合いの場合、サイトには会員番号のみが表記されていて、お名前は出ていません。お見合いが成立して初めて、名字(もしくは下の名前のどちらか)が明かされます。そして、交際になって初めて、お互いのフルネームと連絡先を交換するのです。
ですから、お見合いの席では「都内のどこに住んでいるんですか?」「勤め先はどこですか?」などと個人情報を細かく尋ねるのはタブーです。初対面で、まだお付き合いするかどうかも分からない相手に細かな個人情報を聞かれるのは、決して気持ちのいいものではありません。
お見合いの席で、仕事の話はもちろんしてもよいのです。しかし、会社名を聞くのではなく、「どんな仕事をしていて、どんな職場なのか」「どうして、その仕事に就いたのか」など業種の内容を聞いて、それがどんな仕事なのかを掘り下げるとよいと思います。
また、趣味や休日の過ごし方などを話すのは定番です。そして、その話の中に共通点を見いだせるような会話を心掛けるとよいでしょう。もし、「映画が好き」という共通点があって同じ作品を見ていたら、その作品のことを話してみましょう。旅行好きで、過去に訪れた場所が一緒だったら、そのときの旅行話や観光名所の話をしてみましょう。
「この人と話をして、とても楽しかった」とお相手に思わせなければ、交際希望は出していただけません。尋問のように畳み掛けて質問していくのではなく、お相手が思わず笑顔になれるような楽しい会話を心掛けてください。
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