オトナンサー|暮らしに役立つライフスタイルメディア

  • HOME
  • ビジネス
  • 保育士の待遇改善を求める投稿に「結局金かよ」の声→「ボランティアじゃない」と反論、改善には何が必要?

保育士の待遇改善を求める投稿に「結局金かよ」の声→「ボランティアじゃない」と反論、改善には何が必要?

SNS上で保育士の待遇改善を訴える投稿に対して「お金のために子どもたち見てるの?」との返信が。これに対しては「ボランティアじゃないんだぞ」などと反発する声が上がりましたが実際、保育士の待遇とはどのようなものでしょうか。

その待遇改善が叫ばれる保育士の仕事

 保育士の待遇に関するやり取りがSNS上で話題になりました。きっかけは「保育士の仕事はもっと給料や待遇が良くあるべき」というツイートに対し「お金のために子どもたち見てるの? 子ども好きでやってるんじゃないの? 結局金かよ」との返事が来て驚いたという趣旨の投稿。これには「ボランティアじゃないんだぞ」「子どもの命と成長を預かってるんだから、好きだけでやれる職じゃないよ」と反発する声が上がりました。

 保育士の待遇の実態とそのあるべき姿とは、どのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、白梅学園大学子ども学部の近藤幹生教授(保育学)に聞きました。

保育士の給与は月22万3000円

Q.保育士の給料や待遇は、その他の職業と比べてどの程度「悪い」のでしょうか。

近藤さん「厚生労働省が公表した平成28年度の『賃金構造基本統計』によると、保育士の給与は月額22万3000円。それに対し、その他の全産業の給与は月額33万4000円という結果が出ています。つまり、月あたり11万円程度も低いのです」

Q.給料や待遇が悪いことで、なり手がいないなどの弊害もあるのでしょうか。

近藤さん「あります。平成26年に東京都福祉局が実施した『東京都保育士実態調査』の報告書では、就労している保育士のうち『退職したい』と回答した人が約2割もいることが明らかになっています。その理由として『給料が安い』(70.3%)『仕事量が多い』(52.2%)が多く挙げられました」

Q.保育士の給料や待遇が悪いのはどうしてだと考えられますか。

近藤さん「主に3つの理由が考えられます。1つ目は国が決定する『公定価格』。公定価格とは、子ども1人当たりの8時間保育に必要な月額単価のことで、人件費の元となる数字です。子育て支援策の必要性が高まっている状況においても、国が公定価格の引き上げに本腰を入れず、長期にわたり低く抑えられてきたことに根本的な原因があるのです。2つ目は、保育の仕事に対する専門的な位置付けが弱いこと。21世紀を迎え、保育士は国家資格の専門職となりましたが、それまでの長きにわたって『特別な専門性が必要なく、女性が片手間にやってきたことに過ぎない』という見方をされてきた分野です。よって、専門職としての歴史が浅いことも一因と考えられます。3つ目は、公定価格における人件費の割合。本来ならば、公定価格の8割程度が人件費となるはずですが、残念ながら5~6割に下げてしまう施設経営者がいることも事実です。人件費の財源が限られるため、正規職員の雇用が難しく、非正規職員が多くを占めてしまうケースの増加を招くほか、職場における正規職員の割合が低くなるため、労働条件の改善も厳しくなるのです」

Q.保育士の給料や待遇を改善するには、政府や行政レベルでどのような対策や取り組みが必要でしょうか。

近藤さん「公定価格の引き上げに対し、国が全力を尽くすことです。待機児童の解消には保育士不足の解消が不可欠であることや、保育士の賃金や労働条件などの待遇改善に関する課題があることを、国がようやく認めるようになりました。だからこそ人件費の実態も公表したといえます。しかし『専門性を持つ有資格者でなくてもよい』『庭がなくても保育所として認可する』などの規制緩和策が進み、保育の質が軽視される傾向にあることも事実。子どもの成長・発達を保障するには、専門的な知識や技術を持った、専門性のある保育士の確保が求められます。そのために大幅な処遇改善を図ることが必要なのです」

(オトナンサー編集部)