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いよいよ就活戦線スタート! 学生はエントリーシート“コピペ戦術”を駆使すべし

新しい年を迎え、学生の就活が本格化します。学生には、内定を獲得するための「戦略と戦術」が必要だと筆者は主張します。

2019年3月に行われた合同企業説明会(時事通信フォト)
2019年3月に行われた合同企業説明会(時事通信フォト)

 新しい年を迎えました。これから、2021年卒の就活が本格化してきます。これまで主導してきた経団連が「採用選考に関する指針」廃止を表明したことで政府主導に変更となります。従来通りの「3月に採用情報公開・エントリー受け付け開始」「6月に面接などの選考開始」とされていますが、実際は、はるかに前倒しして採用活動が始まっています。

毎年繰り返されるお約束

 毎年、この時期になると公開される「人気企業ランキング」というものがあります。採用市場で人気が高い企業を就活支援会社がランク付けしているものですが、上位にランクインしている企業は就活支援会社の取引額が大きいクライアントが多く、信ぴょう性はありません。人気企業ランキングは就活支援会社にとって、自社サービスを肯定する営業ツールとして使い勝手がいいのです。

 就活ナビは、申込企業から掲載料をもらって情報を掲載することで成立するビジネスです。企業と学生の正しい橋渡しをする存在ではありませんから、掲載企業にとってマイナスになる情報は掲載されません。ところが、現在はSNSの普及により、ネガティブな情報を隠す方が難しくなっています。「厳選採用を演じる企業」「就活を演じる学生」の矛盾は双方にとって大きな機会損失をもたらすことになります。

 なぜ、正しい情報が伝えられないのでしょうか。企業にとって、学生は採用対象者であると同時に、広報対象者である消費者(お客さま)だからです。採用活動は、実質は広報活動であり、学生に与えられる情報は「学生を吸引するために意図的に用意された情報」であることを理解しなければいけません。

 特に選考前であれば、どんな学生にも丁寧に対応してくれるはずです。A社という食品メーカーがあったとします。A社が「当社は、旧帝大、早慶や有名国公立大学以外は採用しません」と公表したら、誰もA社の商品を買わなくなってしまうかもしれません。実際は学歴フィルターがあっても企業はその事実を認めないのです。

人物重視という詭弁

 最近、メディアなどの調査で各企業の採用意欲が高まっているという記事が並びます。しかし、企業にとって関心が高いのは学歴です。

 社会人にとって重要なスキルの一つに「コミュニケーション力」があります。ところが、面接で見分けることはまず不可能です。不明確な採用手法の反省から、「学力重視採用」への回帰が発生しているのです。面接で見分けられない人物像よりも、大学、成績、SPIなどの検査で数値化できる学力に重きを置くのは当然といえるでしょう。企業が学力を重視する理由は、主に4つに集約されます。

 1つ目の理由。入社試験の高得点は有名大学の学生の方が多い点です。有名大学ではない学生は、受験の競争や実績という指標が劣っていると評価されます。応募が殺到する大手企業では、採用の効率化の点からも、学歴がフィルターにならざるを得ない事情が存在しています。

 2つ目の理由。人には、相手の共通項を探して、共通項を通じて親しくなっていく性質があります。企業における共通項の一つが学閥です。特に、大手企業には学閥が存在することが多く、学閥=採用実績校となるため、採用実績校ではない学生は事前にふるいにかけられてしまうことが多くなります。

 3つ目の理由。「採用がうまくいった」「採用が成功した」という本質的な理由は「有名大学の学生が何名採用できたか」を表すことです。採用担当者が「今年の採用はうまくいった」と上司に報告します。人物的にも素晴らしく、能力値の高い学生だったとしても、有名大学ではなかったり、採用実績校でなければ上司は評価することが難しくなります。

 4つ目の理由。配属されてから何か問題が発生した場合、採用実績校でなければ、「あんなやつを配属したからこういうことになった」「人事部が能力の低いやつを採用したからこういうことになった」と批判されてもい言い訳しにくくなります。しかし、有名大学出身者ならリスクヘッジが可能です。

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

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