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痛くない「胃カメラ」検査、通常のものと何が違う? 特有のリスクも?

「胃カメラ」検査といえば、苦痛や吐き気に悩まされるものだと思いがちですが、最近は「苦しくない胃カメラ」として検査を行うクリニックもあります。どう違うのでしょうか。

無痛の胃カメラ検査、どう違う?
無痛の胃カメラ検査、どう違う?

 中高年になると胃がんのリスクが高まるといわれており、40歳になってから、健康診断などで「胃カメラ」の検査を毎年受けるよう、すすめられる人も多いようです。胃カメラの検査はカメラ付きのチューブを口や鼻から入れて行うため、検査中に吐き気や苦痛を感じるケースも少なくありませんが、最近は「痛くない胃カメラ」「寝ている間に胃カメラ検査が終わる」などとして“無痛の”胃カメラ検査を行うクリニックもあります。

 無痛の胃カメラ検査は、通常の検査とどう違うのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

鎮静剤でアレルギー反応も

Q.定期的に胃カメラの検査を受けている人はそうでない人に比べて、胃がんになるリスクは少ないといわれていますが本当でしょうか。また、定期的に胃カメラ検査を受けていて、がんが見落とされることはないのでしょうか。

市原さん「定期的に胃カメラ検査を受けている人は、胃がんの原因となることが多いピロリ菌の感染の有無を早期に知ることができますし、たとえ胃がんを発症していた場合でも、早期の段階で発見できる可能性が高いです。そのため、胃カメラ検査を定期的に受けることはとても大事です。

今の日本の医療では、消化器内科医や消化器外科医が胃カメラ検査を担当しますが、彼らががんを見落とすことは考えにくいです。ただし、若い人の発症が多い『スキルス胃がん』というがんの場合は通常の胃がんと異なり、潰瘍などの病変を作らないため発見しにくく、また、がんの進行も速いです。定期的に胃カメラ検査を受けていても、早期発見は難しいと思います」

Q.最近は「痛くない胃カメラ」「寝ている間に終わる」などとして、無痛の胃カメラ検査を行うクリニックもあります。通常の胃カメラ検査とどのような点で異なるのでしょうか。

市原さん「一般的な胃カメラ検査では検査前、喉に局所麻酔をします。しかし、この麻酔の効果は薄く、胃カメラが喉を通過するときに苦痛を感じやすくなります。一方、無痛の胃カメラ検査では、点滴から鎮静剤(興奮や不安を軽減する薬)を入れることで受診者を眠らせ、意識がない間に検査を行います。『目が覚めたら検査が終わっていた』というケースがほとんどで、確かに多くの人は苦痛を感じないでしょう。

なお、無痛の胃カメラ検査は鎮静剤などを使うため、通常の胃カメラ検査に比べ、検査費用が高くなります」

Q.通常の胃カメラ検査にはない、無痛の胃カメラ検査特有のリスクについて教えてください。

市原さん「検査後、鎮静剤の効果が切れて目が覚めても、数時間は頭がぼんやりし、通常時よりも判断力が低下します。そのため、検査終了当日は車やバイクを運転したり、自転車に乗ったりするのは危険です。病院に行くときと帰宅するときは、公共交通機関やタクシーを利用するか、家族に送り迎えしてもらいましょう。また、集中力も低下するので、検査を受けた日は家でゆっくり過ごしましょう。確率は低いですが、鎮静剤によるアレルギー反応が出る可能性もあります」

Q.持病のある人が、鎮静剤を使った胃カメラ検査を受けるのは問題ないのでしょうか。

市原さん「胃カメラ検査でよく使われる鎮静剤は『ミダゾラム』という薬です。この薬は『重症筋無力症』という病気にかかっている人など一部の人には使用できませんが、それ以外の一般的な病気の人に対しては使用できない薬ではありません。もちろん、効き目には個人差があるので、想定外の不快な症状が起きる可能性はあります。持病がある場合は検査前に、医師に相談しましょう」

Q.「自宅周辺に無痛の胃カメラ検査を行う病院がない」「持病で鎮静剤を使った胃カメラ検査を受けるのが難しい」などの理由で、通常の胃カメラ検査を受けなければならない場合、検査時の苦痛をできるだけ和らげる方法はあるのでしょうか。

市原さん「肩の力を抜いて、喉に力が入らないようにして、ゆっくりと呼吸することです。ただし、緊張してうまく呼吸できなくて当然なので、医師や看護師のアドバイスをよく聞いてください」

Q.ちなみに、胃カメラ検査と胃バリウム検査では、どちらの方がより正確に検査できるのでしょうか。

市原さん「胃カメラ検査です。バリウム検査は体内を撮影する方向が限られるため、胃と他の臓器が重なって見えることがあります。その影響でどうしても、がんなどの病変を見落としてしまうことがあり得ますし、反対に胃の状態が正常なのにもかかわらず、異常と判断してしまうこともあるからです」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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