東南アジアを旅するとアベノミクスの失敗がよく分かる
政治で「日本の老い」は止められない
ベトナムを例に説明すると、248.0が日本の99.8より大きいからといって「日本よりも物価が高い」というわけではなく、当然、ベトナムの方が相当割安です。これは、20年前は69.9で買えたものが2016年には248.0になっていることを表しています。各国のデータを見ると、韓国がほぼ2倍、タイが1.5倍、インドネシアは6倍となっており、インフレが進んでいることが分かります。これに対し日本はほとんど変わっていません。
たとえば、日本ではこの20年間、牛丼が300~350円程度で推移していますが、東南アジア各国においては、以前は1食150円程度だったものが、現在では200~300円程度になっているということであり、日本人から見ると、昔は「半分以下」だったものが現在は「少し安いくらい」へと印象が変わっていることになります。
経済危機や国家の政治状況の変化によって急激なインフレを経験している国もあるため、一概には比較できませんが、このようにデータを並べると、20年間もの長きにわたって「物価が変わらない」日本は異常とも言えます。また、物価が上がるということはお金を「今使った方がよい」という消費の後押しにもなります。数年後は同じ値段では買えないため、「お金の価値が下がる」ことを意味しているのです。
物価が上がっている国は消費活動が盛んになり、経済が活性化しますが、日本のように物価が変わらない国は急いで何かを買う必要もないため、消費が増えないという悪循環に陥ります。その意味でアジア諸国は「未来ある若者」、日本は「ピークアウトした老人」と言え、旅をするとそのことを痛感するのかもしれません。
この現状打破に果敢に挑んだのがアベノミクスですが、失敗は火を見るよりも明らか。好き嫌いは別にして、近年まれに見る「強い総理」である安倍晋三首相をもってしても、その壁は高かったということでしょう。もはや、政治ごときでこの国の老いを止めることはできない――。「熱いアジア」と接するとそう感じざるをえません。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)
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