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ひきこもり25歳長男が「1人暮らし」提案 年収800万円は残り3年、両親の決断は…

思い通りにいかないことも…

 長男が1人暮らしを始めて、しばらくの間は、長男と母親で毎日のように連絡を取り合っていました。連絡を取ったときは、長男が率先して、自炊や洗濯、掃除、ゴミ出しをしている様子が伝わってきたそうです。しかし、3カ月もたつと次第に連絡する回数も減り、長男の生活にも変化が現れました。

 毎食の自炊が次第に面倒になり、自炊の頻度が落ちてしまいました。今のところ、コンビニ弁当などの外食と、たまに自炊することで何とかしのいでいます。当初、親子で想定していたよりも食費が2万円ほど多くかかるようになり、オーバーした分は親が負担しています。洗濯は月に数回、掃除はほとんどやっていません。弁当の空き容器やお菓子の袋、ペットボトルなどのゴミを部屋の至る所に放置している状態です。

 心配した母親は月に1回、長男の自宅へ様子を見に行くようになりました。部屋の中を見た母親は文句を言いたいのをぐっとこらえ、黙々と片付けや洗濯を始めます。さすがに長男もばつが悪いようで一緒に手伝います。片付けが済んだ後は、小さな声で感謝の気持ちを伝えるようにもなりました。

「同居していた頃の長男は掃除などを全く手伝おうとせず、私が長男の部屋の掃除をしようものなら、ものすごい勢いで怒っていました。それが今は掃除も手伝ってくれるようになったので、少しは変わったのかもしれませんね」

 母親はそう振り返りました。

 そのような暮らしを続けて半年が過ぎた頃。長男はフードデリバリーの仕事にチャレンジするようになったそうです。今のところ、1日に1、2件なので収入は月2万円ほど。それでも、全く稼げなかった頃に比べれば大きな前進です。

「体力や自信がついてくれば、ピザ店の配達の仕事もしてみたい」

 長男はそのような目標を掲げました。

「当初思い描いたような生活ではないかもしれません。でも、本人なりに頑張っているようですし、あまり口出しをせずに見守っていこうと考えるようになりました。もし、長男が家賃分くらい稼げるようになったら、『(主人が60歳になった後も)引き続き、1人暮らしをさせてみようか?』ということも夫婦で話し合っています」

 母親は筆者にそう語ってくれました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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