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飲酒運転にパワハラ、ストーカー…会社員が懲戒解雇されるのはどんな時?

無罪であれば会社に再雇用義務

 では、何らかの事件を起こして逮捕・起訴され、職場を懲戒解雇された人が公判で無罪となった場合、会社が下した処分は撤回されるのでしょうか。

 八代さんによると、公判で無罪が確定すれば、懲戒解雇の根拠もなくなってしまうため、解雇は「無効」になるといいます。会社にはその人を雇用する義務が生じ、仮に会社が応じない場合には、裁判などで「解雇無効」を主張していくことになります。

 これとは反対に、逮捕された時から一貫して容疑を否認していながら、公判で有罪となってしまった場合はどうでしょう。こうしたケースでも、冤罪であれば、それを理由に解雇の無効を主張することは可能だそう。ただし「不利を覆せるような強い証拠が必要になります」(八代さん)。

 なお、解雇や給料の不払いなど、会社と労働者のトラブルを迅速に解決することを目的に、2006年4月に「労働審判手続」制度が創設されました。これは、労働審判官1人と専門知識を持った労働審判員2人で構成された労働審判委員会が、原則3回以内の期日でトラブルを審理し、調停を試みる制度です。

 八代さんは、この制度のメリットについて、「話し合いと裁判の中間のような制度で使い勝手がよく、スピーディーな解決が期待できます」と話しています。

(オトナンサー編集部)

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八代英輝(やしろ・ひでき)

国際弁護士

国際弁護士。

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