「半沢直樹」で血圧150? 感情移入しやすい作品見て、体調悪化することは?
感情移入しやすいドラマや映画を見ることで、体調が悪化することはあるのでしょうか。医師に聞きました。
堺雅人さん主演のTBS系連続ドラマ「半沢直樹」が話題となっています。理不尽な状況に何度も追い込まれながらも、立ちはだかる敵を次々と打ち破り、銀行員としての使命をまっとうする半沢直樹の姿勢に共感や爽快感を覚える人も多いのではないでしょうか。ところで、ネット上では「半沢直樹を見ていると血圧が上がる」「見終わって血圧を測ったら150を超えていた」「視聴後、頭痛がする」などの声があります。
「半沢直樹」のような感情移入しやすいテレビドラマや映画を見て、体調が悪化することはあるのでしょうか。血圧が上がったときの症状や注意点について、内科医の市原由美江さんに聞きました。
高血圧の人は頭痛やめまい
Q.感情移入しやすいテレビドラマや映画を見ることで、体調が悪化することはあるのでしょうか。
市原さん「テレビや映画に限ったことではありませんが、興奮すると血圧が上昇したり、脈拍数が増えたりすることがあります。元々、高血圧の人はそのような刺激によって血圧がさらに上昇する可能性があり、その際に頭痛やめまいといった症状が出ることがあります。また、心拍数が増えることで不整脈を誘発する可能性があるので、不整脈が出やすい人も注意しましょう。
もし、テレビや映画を視聴中、もしくは視聴後に頭痛やめまいの症状が出た場合、横になって安静にしてください」
Q.ネット上では「(半沢直樹の視聴を)医者に止められています」という声もありますが、医師がドラマや映画の視聴を控えるようアドバイスすることはあるのでしょうか。
市原さん「先述の通り、普段から血圧が高い人は血圧がさらに上昇することがあります。血圧が普段から高く、血圧コントロールができていない患者さんには、怒ったり、興奮したりするようなことは控えるよう指導することはあります。ただ、テレビドラマは短時間で、血圧が上がるか上がらないかの個人差も大きいので、必ずしも視聴を制限する必要はないと思います」
Q.高血圧の基準や危険性について教えてください。
市原さん「通常は、血圧が少し上がる程度では症状は出ません。日本高血圧学会による高血圧の基準値は、診察室での血圧の数値で上が140以上、下が90以上、家庭での血圧で上が135以上、下が85以上とされています。
個人差はありますが、血圧が上が160以上、下が100以上のときに頭が重い感じ、頭痛、めまい、のぼせ、動悸(どうき)などの症状が出てくることが多いです。高血圧を放置すると、脳卒中のリスクが上がるほか、動脈硬化が進むので、長期的には心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも上がります」
Q.感情移入しやすいテレビドラマや映画を見るときに、気を付けるべきことはありますか。
市原さん「姿勢を楽にするなど、なるべくリラックスした状態で視聴してください」
Q.ちなみに過去、コンサート中に失神(気絶)する事例もあったようです。興奮して失神するようなことはあるのでしょうか。
市原さん「興奮によって失神することがあり、これを『反射性失神』といいます。立っているときや座っているときに起こりやすいので、この失神を予防したい場合、コンサート会場では無理ですが、自宅でのドラマや映画観賞は、ごろ寝など横になった姿勢で見るのがおすすめです」
(オトナンサー編集部)
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