痛い治療は何だったのか…「虫歯」は一生治らないって本当?
メンテナンスを継続しよう
Q.虫歯も歯周病もずっと治らないとしたら、一生、歯医者に行く必要があるということでしょうか。
宮本さん「あります。一生通い続けられる歯科医院とよい関係を持ってください。『歯医者に行く=(歯を削る)治療』ではありません。虫歯も歯周病も目に見える症状が落ち着いていたら、症状が出ない状態を維持するために『口腔ケア(メンテナンス)』を行います。自分ではきれいにできないところや、自分では落とせない汚れ(細菌)を取り除きます。
特に近年、虫歯の分類が変わり、目では確認できない『超初期虫歯』から発見し、治療できるようになりました。これまでの『穴が開いた状態=虫歯』ではありません。穴が空いていないため、削って詰め物をする必要はありません。エナメル質を強化するフッ素を塗って虫歯を治します。これは、定期的に歯科医院に通っていないとできない超早期発見治療です」
Q.どの程度の頻度で通うべきでしょうか。
宮本さん「人によって異なります。虫歯リスクや歯周病リスク、口の中の状態、年齢などを考え、どれくらいの頻度で通うのか、どんな内容の口腔ケアを行うのか、歯科医師と相談しましょう。
イギリスでは公的に指標が示されており、虫歯・歯周病のリスクがほとんどない人でも3カ月~2年の間隔での通院を推奨しています。18歳以下であれば3カ月~1年です。もちろん、リスクが高い人の間隔はより短くなります。まれに、虫歯・歯周病リスクが低く、全く問題ない人もいますが、それでも最低2年に1度は歯科医院に行きましょう」
Q.「一生歯医者に行く必要がある」と言われると、「歯医者に通わせるために大げさに言っているのでは?」と疑う人も出てきそうです。歯磨きなどセルフケアをしっかりしても駄目なのでしょうか。
宮本さん「セルフケアは大切ですが、先述したように、目では確認できない超初期虫歯は歯科医院でしか発見できません。また、歯科医院でしか取り除けない細菌があり、その細菌こそが本当に悪い細菌です。
虫歯も歯周病も細菌による感染症の病気ですが、その菌は主に『バイオフィルム』という膜の下にいます。バイオフィルムの中にいる菌には薬が効かず、通常の歯ブラシでは取れません。歯科医院で専門的な器具などを使って、バイオフィルムを剥ぎ取り、本当に悪い菌を取り除く必要があります。
昔の歯医者さんは治療後、『痛くなったら、またおいで』と言っていたようですが、令和の歯科医療ではNGです。『次は○カ月後においで』と言ってくれる人がよい歯医者さんかもしれません」
(オトナンサー編集部)
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