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日米欧の利上げレースで強まる日銀の「置いてけぼり感」

ECBは「周回遅れ」、日銀はさらに…? 

 利上げが喫緊の課題となっているのは、カナダ銀行(BOC)です。BOCは原油安を背景に2015年に2度の利下げを実施しました。ポロズ総裁は、6月中旬のインタビューで「(利下げは)役割をまっとうした」として利上げを示唆しましたが、今回も同じ趣旨の発言をしています。このため、次回7月12日の政策会合で2010年以来の利上げに踏み切るとの見方が有力です。

 フォーラムの主催者であるECBは金融緩和の縮小に対して慎重です。ドラギ総裁はユーロ圏の景気や物価に対して楽観的な見方を示す一方、「金融緩和がなお必要」という従来の見解を繰り返しました。ただし「経済が改善するにつれ、金融緩和の調節が必要」とも語っています。ECBは少なくとも年末まで現行の債券購入を続ける意向ですが、市場は来年初からの債券購入の縮小が視野に入ったと受け止めたようです。そして、来年6月に利上げに踏み切るとの見方も出てきました。

 一方、日銀の黒田東彦総裁にも発言機会がありました。黒田総裁は就任した2013年4月以降の質的・量的緩和が経済に好影響を与えたとした上で、それが引き続き必要との見解を表明、「(非伝統的な金融緩和からの)出口の議論は時期尚早」という姿勢に大きな変化はないようです。市場では、2018年末までを見据えても、日銀が利上げを実施するとの見方はほとんどありません。

 以上の状況をレースに例えると、先頭を走るFRBに対してBOEやBOCが追いかける展開で、ECBは周回遅れ、日銀はさらに1周、あるいは数周の周回遅れと言えるかもしれません。フォーラムで浮き彫りになったのは、ほかの中央銀行の利上げの観測が高まる局面では、日銀の「置いてけぼり感」が強まるということでしょう。これはすなわち、為替市場において円安圧力が強まりやすい局面と言えるかもしれません。

(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)

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西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

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