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夏は熱中症も…暑くて外した「マスク」、ポケットやかばんにしまって大丈夫?

これからの季節、暑さでマスクを外す機会も増えると思いますが、外したマスクは、ポケットやかばんにそのまましまっても大丈夫なのでしょうか。

外したマスク、ポケットにしまってもいい?
外したマスク、ポケットにしまってもいい?

 今夏は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、高温多湿にもかかわらず、外出時にはマスクを着用するという、ほとんどの人が経験したことのない状況になりそうです。

 厚生労働省は熱中症予防のため、屋外で人と十分な距離(少なくとも2メートル以上)が確保できる場所では、マスクを外すことなどを呼び掛けています。しかし、その場合、外したマスクはどのように保管すればよいのでしょうか。マスク表面にはウイルスが付着しているといわれていますが、ポケットやかばんにそのまましまっても大丈夫なのでしょうか。

 内科医の市原由美江さんに聞きました。

かばん内の携帯にウイルスが付いていたら…

Q.夏の外出時に暑さを感じてマスクを外す場合、どのようなことに気を付けて外せばよいでしょうか。

市原さん「マスクを外すときは、周りの人との距離が2メートル以上離れているかどうか確認してからにしましょう。また、エレベーターなどの密室で、人がいなければマスクを外したくなると思いますが、例えば、せきやくしゃみをすることでウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)が一定時間、空気中に漂う可能性があります。周りに人がいなくても、密室でマスクを外すのは避けた方がいいでしょう」

Q.外したマスクを手に持ち続けると邪魔になるため、ポケットやかばんにしまおうとする人が多いと思います。問題ないのでしょうか。

市原さん「まず、布マスクに関してですが、自分の飛沫が周囲に拡散するのを予防することはできても、外部からの飛沫による感染を完全に防ぐことはできません。つまり、エチケットマスクとして使用するのであれば、ポケットやかばんに一時的に入れておくことに問題はありません。

ただし、さらに感染予防に留意したいのであれば、かばんに入っている携帯電話にウイルスが付いていた場合、布マスクを介して感染することが考えられるので、かばんにそのまま入れることは避けた方がいいでしょう。

一方、不織布(ふしょくふ)マスクは本来は使い捨てするべきですが、新型コロナウイルスの影響で仕方なく、日中は再利用するという前提でお答えします。不織布マスクは布マスク同様、周囲への飛沫感染を予防する効果に加えて、周囲からの飛沫による感染をある程度予防する役割があります。

つまり、マスクの表面にウイルスが付着していることを想定すると、ポケットやかばんに乱雑にしまうことは避けるべきです。マスクを収納できるケースに入れるなど、扱いには注意が必要です。必要に応じて、アルコールスプレーをするなど対策をすることが望まれます」

Q.マスクを収納できる抗菌のケースも存在し、外したマスクをしまい、必要になるとケースから出して再び着用する人もいるようです。

市原さん「抗菌とはあくまで、細菌に対して有効ということであり、ウイルスに対しては無意味です。着用したマスクをケースにしまう場合、ケースの使用を一度切りにしたり、使用後にケースを洗ったり、消毒したりするなどの注意が必要です」

Q.外したマスクを手に持ち続けて保管することは、保管方法としていかがでしょうか。

市原さん「エチケットマスクとして使用するのであれば問題ないですが、感染予防の効果も期待するのであれば、ケースに入れ、使用後にケースを洗う、あるいは消毒する方がいいでしょう」

Q.高温多湿の気象条件でマスクを長時間着用するのは、ほとんどの人が初めてだと思います。マスク着用が原因の熱中症にならないために、今からできることは何ですか。

市原さん「高温多湿の気象条件では、周囲に人がおらず密室ではないなどマスクを外せる環境であれば外し、小まめに水分補給をすることが基本です。

また、『暑熱順化(しょねつじゅんか)』といって、暑さにさらされることで皮膚の血管が広がりやすくなり、効率よく汗をかけるようになるので、例年以上に適度な運動や入浴で汗をかく習慣をつけることを意識しましょう。その結果、体温を適切に調整できるようになり、熱中症の予防になります。エアコンの使い過ぎにも注意しましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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