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【英総選挙】保守党敗北で連立工作はどう進むのか 労働党中心の政権も?

6月8日投開票の英総選挙で、メイ首相率いる与党・保守党が過半数を割り込むこととなりました。政権基盤を強化してEU離脱交渉を進める、という同首相の狙いは外れた形です。政権をめぐる今後の連立工作はどのような展開が想定されるでしょうか。

英総選挙で与党・保守党が敗北

 6月8日に投開票された英総選挙で、メイ首相率いる与党・保守党が過半数(326議席、下院定数650議席)を割り込むこととなりました。4月、電撃的に解散・総選挙を決断したメイ首相の狙いは、過半数をわずかに上回る保守党の議席を上積みし政権基盤を強化する▽その上で欧州連合(EU)離脱交渉を進める▽政権長期化を図る――という3つでしたが、その思惑は外れたことになります。

自由民主党は連立に消極的とされる

 過半数の議席を占める政党がない「宙ぶらりんの議会」において、第1党が見込まれる保守党は「連立政権」を目指すことになりそうです。ただし、過去に保守党と連立した自由民主党や政策が近いスコットランド国民党は今回、連立に消極的であるとされ、保守党が他党から(個々の政策などで)閣外協力を取りつける「少数党政権/連合政権(minority government)」となる可能性があります。

 保守党が政権樹立に失敗すれば、第2党の労働党が連立工作を行うことになりそうです。その場合、自由民主党やスコットランド国民党などとの中道左派政権が誕生する可能性があります。この場合、新政権はメイ首相が目指した、欧州単一市場から離脱して自由に移民規制をする「ハードブレグジット」ではなく、移民問題で譲歩し単一市場にとどまる「ソフトブレグジット」を目指すかもしれません。

 ハードブレグジットよりもソフトブレグジットの方が、将来的には英経済への打撃が小さく、ポンドにとってプラスになる可能性はありますが、英政治が不安定になれば、EUとの離脱交渉は一段と難航するかもしれません。離脱交渉は6月19日から始まる予定ですが、延期される可能性もあります。

 いずれにせよ、総選挙の結果は今後しばらく、ポンドの弱気材料となりそうです。

(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)

西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

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