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日々の健康は「規則正しい生活」から! まずは生活習慣を見直そう

あなたは「規則正しい生活」ができていますか。日々の忙しさにかまけて、ついつい生活リズムが乱れてしまってはいませんか。しかし、食事と睡眠に支えられた人本来のリズムを整えることは、生活習慣病などの予防に欠かせないのです。

「規則正しい生活」は生活習慣病予防などにつながる

そもそも「規則正しい生活」とは

 突然ですが、あなたは「規則正しい生活」ができていますか。自信を持って「はい」と答えられる人は少数派かもしれません。体力や若さに任せて、不規則な生活になりがちな人も多いことでしょう。

 しかし、規則正しい生活は心と体の土台を作ります。「健康に良いとわかっていてもなかなか実践できない」。そんなあなたもこの辺りで一度、規則正しい生活について真剣に考えてみませんか。主な生活習慣病は規則正しい生活を送ることで、事前に防げる場合が多いからです。

 現代人は忙しさに振り回され、規則正しい生活をすることが困難になっています。夜勤や24時間体制の仕事をしている人はなおさらのこと。ここでは、誰でも実践できる、規則正しい生活のための簡単なコツを、医師の髙田女里さんと一緒に紹介していきます。

 そもそも、規則正しい生活は「起床」→「朝食」→「昼食」→「夕食」→「就寝」という、睡眠と食事に支えられた等間隔のリズムによって作られます。ここに適切な運動が加わるとより理想的です。

 しかし、食事と睡眠について体が要求しているベストなタイミングを無視すると、不規則な生活になることが多くなってしまいます。そこで、食事と睡眠を「いつ」「どのように」取るかが重要なのです。

人は睡眠と食事でリセットされる

 精神、記憶、体力、体調――。これらのすべてにおいて、最も「リセット効果」の高いものが睡眠です。気分の安定しない人や、うつ病など心の病の人には、睡眠を規則的に取れていない人や、良質な睡眠を取れていない人が多いのです。また、食事は人に幸福感を与えてくれます。睡眠と食事は、人が生きていく上で避けられない「ストレス」をリセットし、精神的にも肉体的にも回復させる最善の行動です。

 そして、睡眠と食事を規則正しく行うことが、人が生きていく上で非常に重要な「生体リズム」を整えることにつながります。

 生体リズムとは、人が生まれながらに体内に備えているリズムのことです。体にとって最も自然な、負荷のない状態を指し、赤ちゃんや子どもは、この生体リズムを本能的に最優先して行動しています(眠くなったら寝るetc)。

 生体リズムは、脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)にある「体内時計」によって刻まれるリズムで、その役割は生きていくために欠かせないものばかりです。

・睡眠と覚醒のリズム
・体温のリズム
・行動のリズム
・ホルモン分泌のリズム

 生体リズムはホルモン分泌まで司っています。ホルモンはすべて、自律神経とお互いに影響し合っているため、生体リズムの乱れは人間の「恒常性(生体の状態を一定に保とうとする性質)」の乱れにつながるのです。

睡眠が重要な理由

 人が生まれながらに持っている体内時計は25時間前後と言われており、リセットされなければ1日1時間ずつ後ろへずれていくことになります。この、体内時計のリセットにとって大切なのが「朝の光を感知すること」です。

 朝の光は、視交叉上核から松果体(しょうかたい)を刺激し、「セロトニン」「メラトニン」などのホルモンを作ります。

 セロトニンは精神安定効果に優れたホルモンで、日中分泌しやすく、睡眠中は少なくなります。心を健やかに保つこのホルモンは、人間が本来持っている「日中活動して日没後は睡眠を取る」というリズムを守ることで、正常な分泌が保たれます。

 早寝早起きの規則正しい生活が大切な理由の一つがここにあります。早起きして朝日を浴び、セロトニンを分泌させることで心が安定し、さわやかに一日をスタートできるからです。

 セロトニンと対をなすメラトニンは別名「睡眠ホルモン」といいます。メラトニンはセロトニンが分泌されると抑制されるため、朝日を浴びてセロトニンを分泌させると、自然に眠くなくなるという仕組みです。逆に、セロトニンが活動を弱める夜はメラトニンが活性化し、自然に睡眠へ向かいます。

 規則正しい生活を続けると、体内時計のリセットを含めて、このリズムが自然とでき上がり、心も体もどんどん安定していくのです。

食事が重要な理由

 睡眠だけでなく、食事も生体リズムに深く関与しています。栄養バランスの良い食事に気をつけることは大切ですが、何を食べるのかにこだわる人は多くても、「いつ・どのように食べるのか」を気にする人は、残念ながらあまり多くありません。

 規則正しい生活で早起きをした後、初めての食事が朝食です。生体リズムにとって特に重要なのが朝食であり、寝ている間に一切食べていなかった体は、朝食をとることによって胃腸の動きが活発になり、また、かむことで刺激が脳に伝わって、体も脳も完全に目覚めることができます。

 しかし、朝食を抜いて1日1~2食では体内が飢餓感を感じ、小腸が多量の糖分を吸収する結果、血糖値が急激に上がり、肥満や糖尿病を招く原因となってしまいます。

 また、昼食と夕食をきちんと同じ時間に食べることも、生体リズムを整える上で有効です。脂肪を蓄積することで有名なタンパク質「BMAL1(ビーマルワン)」は体内で午後10時以降に生産され、午前2~3時にピークを迎えます。普通は睡眠をとっている時間帯です。つまり、午後10時以降に食事をすると、脂肪が蓄積しやすくなると言われています。

 なお、睡眠時間が短いとBMAL1のほか「グレリン」という、脂肪を蓄えるホルモンが分泌され、肥満にさらに追い打ちをかけます。睡眠が十分取れないことは「生命活動の危機」を意味するため、体は脂肪を蓄積して有事に備えようとするのです。

 BMAL1は朝の6時頃から減り始めますが、このスイッチに当たるのが太陽光です。つまり、起床時に朝日を浴びることで、心を穏やかにするセロトニンと睡眠ホルモンであるメラトニンが交代し、BMAL1が活動を終えて脂肪が燃焼される活動時間帯へ移行するのです。

 人の生体リズムの緻密さに驚かされると同時に、規則正しい睡眠と食事が深く関与していることがよくわかります。

生体リズムの乱れはこんな病気を引き起こす

 人の体は規則正しい生活によって生体リズムが整い、多少の病気には強くなります。ところが、不摂生がたたって生体リズムが乱れ、自律神経とホルモンの関係がうまくいかなくなると、とたんに不調をきたします。そして限界を迎えると、誰もが聞いたことのある、以下のような生活習慣病を発症するのです。

・がん
・心筋梗塞
・高血圧
・糖尿病
・脳卒中
・脂質異常症

 これら生活習慣病の恐ろしさは、症状を和らげる薬や進行を遅らせる薬があったとしても、病気を根本から治す薬がないという点です。先述の通り、睡眠と食事が体の土台を作ります。これを正しくしない限り、生活習慣病は改善されません。

 生体リズムの乱れは、精神面にも影響します。たとえば、過剰な心配性やネガティブな発想、イライラする、気分が安定しない…などの人は、高確率で不眠症も合併することが多く、睡眠をきちんと取れないと症状はますます悪化します。

 心が落ち着かない人は規則正しい生活を実践しましょう。それだけで気持ちが落ち着いてくるのがわかるはずです。

規則正しい生活をするためのコツ

 本来であれば、「起床」「朝食」「昼食」「夕食」「就寝」のすべてを、ベストなタイミングで行うことが理想ですが、社会人の皆さんの中には、規則正しい生活がどうしても難しい人もいらっしゃるはず。そこで、最も重要な「朝」だけは頑張りましょう。

【朝は毎日決まった時間に起きる】

「前日にどれだけ遅く寝ても、朝は必ず決まった時間に起きる」。これを守れば、不規則な状態が続いてもリセットは可能です。朝起きたら朝日を浴びましょう。天気が悪くてもカーテンを開け、外気を吸って、目が覚めたことを体内時計まで届けます。ラジオ体操などで体を動かして体温を上げることも非常に有効です。

 仕事の都合上夜勤がある人でも、通常時間に寝起きできる日があれば、この方法でだいぶリセットできます。逆に、いつも昼夜逆転状態の人は、必ずしも早朝ではなくてもよいので、その生活スタイルなりに自分で「規則」を決めて、リズムを作りましょう。ただし、昼夜逆転が常態の人でも、日光を浴びると体内時計はリセットされてしまいます。中途半端な体調になったり、眠れなくなったりする人が多いのはこのためです。

 朝、決まった時間に起きたら、血糖値を上げるためにきちんと朝食をとるようにします。夕食を食べすぎず、規則正しい睡眠に成功していれば、問題なく食事できるはずですが、どうしても厳しい人はジュースなどでも構いません。徐々にでも、朝食をしっかりと食べられるようになれば理想です。

【昼食も決まった時間に。昼寝をしすぎない】

 朝食を抜いた人は、昼食を大量に食べたくなるかもしれませんが、ドカ食いは血糖値の急上昇とインスリンの大量分泌につながります。適量にし、眠気があっても長時間の昼寝は避けましょう。20分程度に収め、午後3時以降は寝ないようにします。

【夕方から夜にオススメの軽い運動】

 ここで軽い運動をして体温を上げておけば、夜に向かって体温が下がるため健やかな就寝につながります。ジョギングなどが難しければ、ストレッチでも構いません。

【夜は寝る数時間前に食事を済ませる】

 胃腸に負担をかけることは睡眠の質を下げてしまいます。体を老化させる行為でもあるため、夕食はできるだけ早めの時間帯に済ませましょう。ただし、忙しい社会人にとってこれが一番難しいかもしれません。一度、消化の良いものを軽く食べるだけにして、朝を迎えましょう。朝食を無理なく食べられ、体が軽いことも実感できるはずです。

 早起きによって日中の活動量を確保できれば、夜は自然と眠くなるはず。寝る直前までスマホを見たりするのは止め、部屋を暗くします。「深呼吸する」「パジャマに着替える」などの「スリーピングセレモニー」を行い、自然に眠りを迎えましょう。

【あなたの健康はあなた自身の選択で支える】

「規則正しい生活」というと地味な感じがしますし、実際にすべてを完璧に行うのは難しいかもしれません。しかし、睡眠と食事をないがしろにして、体を壊した後に後悔しても手遅れ。あなたの体の土台は、あなたが選んだ睡眠と食事で作られます。先述の「実践のコツ」通り、太陽光を浴びてリセットすることが最も簡単で効果的な方法です。まずは、朝から頑張りましょう。

 自分の体の生体リズムに正直に、心も体も健やかに過ごすためには、規則正しい生活が何よりも大切なのです。

(オトナンサー編集部)

髙田女里(たかだ・めり)

医師(形成外科)・医学博士(法医学)

1980年8月15日生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科の憲法ゼミで学んだ後、医師を目指して秋田大学医学部へ学士編入。医師免許取得後、2年間研修医として各科を回り、その後、法医学分野の博士号を取得した。日本形成外科学会会員、日本抗加齢医学会会員、日本医師会認定産業医。