「全治1週間」のけが、1週間では完治しないかもって本当? 医師に聞く
「全治◯週間」という表現は一体何を指し、どのように判断されるのでしょうか。医師に聞きました。
けがをして病院にかかった時や、事件・事故のニュースなどでよく目にする「全治◯週間」という表現。この期間は一体何を指し、どのように判断されるのでしょうか。形成外科医の高田女里さんに聞きました。
治癒までの期間、見込みで判断
Q.そもそも「全治」とはどういうことでしょうか。
高田さん「まず全治とは、全有効治療期間(治療を要する期間)のことを指しており、『完治』までの期間とは異なるものです。後遺症が出るけがをした場合、そのけが自体が治るまでの期間が『全治』の期間であり、そのけが自体が治った後も続く後遺症の期間は、『全治までの期間』には含まれません。つまり、一生後遺症が続くけがをしたとしても、『全治一生』とはなりません」
Q.では、全治の「期間」はどのように判断されるのでしょうか。
高田さん「『全治◯週間』などは、医師が最初に診療した段階で、疾患が治癒するまでの期間を『見込み』で判断するものです。『骨折2週間+打撲1週間=3週間』のような加算方式ではなく、同じ部位に打撲と骨折をした場合は、打撲よりも長い治療期間を要する骨折が治癒するまでの期間を『全治』の期間とします。
全治の期間を決定する基準は国や学会が定めるものではなく、医師が最初の診療段階で、あくまでも経験に基づいて決めるものです」
Q.医師が経験に基づいて決める、ということは、医師によって全治までの期間が違うこともあるのでしょうか。
高田さん「医師によって全治までの期間が違うことも可能性としてはあります。ただし、大きくズレることはなく、せいぜい2~3日程度のズレになると思われます」
Q.医師が最初に示した全治までの期間と、実際の治療期間が異なることはあるのでしょうか。
高田さん「最初に示した全治までの期間と実際の治療期間が大きく異なることは原則ありませんが、傷の治癒過程で感染が生じたり、骨折部に再び外的な力が加わったりして治療が遅れれば、この限りではありません」
(オトナンサー編集部)
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