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被告の「訴状が届いていないのでコメントできない」、本当に届いてない? 沈黙の意味は?

「コメントできない」報じる意味は

Q.「訴状が届いていないのでコメントできない」は、ニュースや記事の中では、実質的な意味はない回答です。それでも、マスコミが必ず載せる意味は。

山口さん「マスコミは、提訴に対する被告側のコメントを最初から期待していません。なぜなら、たとえ訴状を読んだ後であっても、被告側がマスコミに話すことは限られているからです。『マスコミを通して反論すれば、裁判で不利になるかもしれない』と大部分の被告は考えていますし、弁護士もそのようにアドバイスします。

しかしながら、マスコミは両論併記を基本としているので、原告側のコメントだけを掲載することは避けたい。そこで『定番回答』であっても、被告側のコメントを載せたことで一件落着としたいのです」

Q.マスコミの側は訴状が届いた頃を見計らい、改めて被告側を取材することも可能だと思うのですが、そうした記事はほとんど見たことがないように思います。

山口さん「実際のところ、訴状が届いたころを見計らって改めて被告側に取材しても、『係争中なのでコメントできません』という回答が返ってくるのがオチだと思います」

(オトナンサー編集部)

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山口明雄(やまぐち・あきお)

広報コンサルタント

東京外国語大学を卒業後、NHKに入局。日本マクドネル・ダグラスで広報・宣伝マネージャーを務め、ヒル・アンド・ノウルトン・ジャパンで日本支社長、オズマピーアールで取締役副社長を務める。現在はアクセスイーストで国内外の企業に広報サービスを提供している。専門は、企業の不祥事・事故・事件の対応と、発生に伴う謝罪会見などのメディア対応、企業PR記者会見など。アクセスイースト(http://www.accesseast.jp/)。

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