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日焼け止め必要? ステイホームでも「紫外線」対策はした方がいい?

新型コロナウイルスの影響で、外出を控え、朝から晩まで室内で過ごす日もあると思います。そんなときでも、紫外線対策を行った方がよいのでしょうか。

室内でも紫外線対策は必要?
室内でも紫外線対策は必要?

 気温が上昇し、汗ばむ季節になってくると、気になるのが紫外線です。夏の外出時は、特に念入りに日焼け止めを塗る人も多いと思います。しかし、新型コロナウイルスの影響による外出自粛の呼び掛けが続く現在、お出掛けの機会が減少し、自宅で過ごす時間が長くなるとともに、紫外線ケアを行うタイミングも減っている人が多いのではないでしょうか。

 そんな中、ネット上では「自宅で仕事をするときのデスクが窓際で、日差しが強い日は紫外線が気になる」「室内でも日焼け止めを塗った方がいいの?」など“ステイホーム”での紫外線対策に関して疑問を持つ人もいます。

 外出せず、朝から晩まで室内で過ごす日でも、紫外線対策を行った方がよいのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士院長(皮膚科・形成外科)に聞きました。

屋内でも10~20%の紫外線

Q.まず、紫外線について教えてください。

佐藤さん「太陽からの日射は波長により、赤外線、可視光線、および紫外線に分けられます。可視光線よりも波長が短く、エネルギーが高い光が紫外線(UV)です。

紫外線は波長の長いものから、A波(UVA)、B波(UVB)、C波(UVC)の3種類があります。A波とB波が地表に到達し、人体に影響を与えます。C波はほとんどが地球上空のオゾン層で吸収され、地表には到達しません。

紫外線は、1年のうちでは春から初秋にかけて強く、7~8月にピークを迎えます。4~9月に1年間のおよそ70~80%が降り注ぎます。1日のうちでは、太陽の高度が高くなる午前10時~午後2時の間に、1日のおよそ70%が降り注ぎます。やはり快晴時に最も多くなり、曇りのときは快晴時の70%、雨天時は30%に減少します。

紫外線は皮膚の細胞のDNAに損傷を与えることで、さまざまな影響を及ぼします。それにより、急性障害として炎症が起こり、メラニンの生成が活発になると、数時間後より出現する赤い日焼け『サンバーン』や、数日して肌が褐色になる日焼け『サンタン』が起こります。

人体にはDNAが受けた損傷の修復機能が備わっていますが、慢性的に紫外線を浴び続けるとDNAの損傷が蓄積され、シミが出たり、皮膚の腫瘍が発生したりします。さらに、紫外線は皮膚のハリや弾力を担っているコラーゲンやエラスチンを変性させるので、シワやたるみが目立ってきます。

シワ・たるみというと『加齢による老化』と思われがちですが、実は生理的な加齢に加えて、紫外線の慢性障害によって生じる『光老化』の結果でもあるのです」

Q.紫外線対策について、中には「普段の外出程度なら、何もケアしない」人もいますが、紫外線ケアは年齢・性別問わず行った方がよいのでしょうか。それとも不要でしょうか。

佐藤さん「先述の通り、紫外線は肌にとってさまざまな悪影響を及ぼすため、肌を大事にするという観点からは紫外線ケアを徹底した方がよいでしょう。ただし、紫外線には、浴びることで私たちの体内にビタミンDを生み出すというよい面があります。

ビタミンDは骨の発育に欠かせないものです。食事やサプリメントで必要量の摂取ができれば問題ないのですが、赤ちゃんや幼児などが過度の紫外線予防を行うとビタミンD不足になる恐れがあるので、母乳や栄養からビタミンDが十分に摂取できない場合は、適度に紫外線に浴びることも必要です。

その場合は、紫外線量の少ない早朝や夕刻に、直射日光が当たらないように15~30分程度屋外に出るのがよいでしょう」

Q.終日、屋内で過ごす場合も日焼けをすることはあるのですか。また、屋内でも紫外線対策をした方がよいのでしょうか。

佐藤さん「『屋内には紫外線が全くない』というわけではないので、屋内にずっといる場合でも何かしらの紫外線対策は必要です。

紫外線は通常の窓ガラスを70%透過する上、室内の床や壁などで反射して散乱します。屋内でも窓の近くなど、直射日光が当たる場所にずっといる場合は日焼けをする可能性があります。年間で見ると、屋内で働く人は屋外で働く人の10~20%の紫外線を浴びているといわれています。そのため、屋内にいても、紫外線が肌に当たらないようするなどの対策をした方がよいでしょう。

ちなみに、屋外の日陰でも日なたの50%、また先述の通り、曇りでも快晴時の70%、雨天でも30%の紫外線があります。また、紫外線の反射率は、地面のアスファルトやコンクリートでは10%、水面では10~20%といわれています。つまり、直射日光に当たらない、天気が悪いといっても紫外線をある程度は浴びており、日焼けしないわけではありません」

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佐藤卓士(さとう・たかし)

医師(皮膚科・形成外科)・医学博士

アヴェニュー表参道クリニック院長。京都大学農学部卒業。九州大学医学部卒業。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽(けんさん)を積み、現在に至る。日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会所属。アヴェニュー表参道クリニック(https://www.a6-clinic.com)。

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