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離婚して実家にひきこもった長女のために…年金アップへ、母親が踏み出す一歩

人がひきこもりになる理由はさまざまで、離婚が引き金となるケースもあります。将来の生活に備え、どんなことに取り組んだ方がいいのでしょうか。

離婚後、ひきこもりになる女性も…
離婚後、ひきこもりになる女性も…

「ひきこもりの人は生涯独身で結婚とは無縁」というイメージを持つ人も多いことでしょう。しかし、現在ひきこもっているからといって全員が全員、ひきこもる前もずっと独身だったというわけではありません。ひきこもってしまう原因はさまざまで、離婚が引き金となるケースもあるのです。

カードの使い込みから離婚へ

 ひきこもりになる原因は人それぞれです。10代で不登校となり、社会とのつながりを持てないまま成人してしまうケースもあれば、失業してひきこもり状態に陥ってしまうケースもあります。今回の相談者は、娘のことを心配している母親。ひきこもっているのは長女です。彼女がひきこもったきっかけは「離婚」でした。

 長女は20代後半で結婚しました。結婚当初はパート勤務でしたが、職場での人間関係がうまくいかず、2年ほどで辞めてしまいました。長女夫婦には子どもがおらず、夫は夜遅くまで仕事、両親とは別居という状況だったため、長女は家の中で1人で過ごすことが多かったそうです。

 そのストレスからか、夫のクレジットカードで化粧品、洋服、バッグ、アクセサリーなどを必要以上にネットで買うようになってしまいました。多いときは月10万円以上、当時の夫の稼ぎからするとかなりの出費です。夫がとがめると、長女は人が変わったように感情を爆発させ、食器を投げつけたり、刃物を持ち出したりすることもあったそうです。

 長女の両親が間に入って何とか両者を取り持ってきましたが、それも限界に。ついには夫から離婚を切り出され、結婚生活は4年で終わりました。離婚後、長女は実家へ戻ってきました。離婚のショックで抑うつ状態に陥ってしまったからだそうです。長女は何もやる気が起きず、月1回の通院以外は外出することもなく、一日中家の中で過ごしています。

 通院はしていますが、今のところ障害年金がもらえるほど症状は重くないとのことでした。離婚して1年半ほどが過ぎても、長女の状況はあまり変わりません。

「長女のために、何かお金を増やす方法はないのでしょうか?」

 仕事をしていない長女の将来を心配した母親は、切実な表情で訴えてきました。

「3号分割」とは?

 筆者には1つの提案が浮かんでいたので、それを母親に伝えることにしました。

「ご長女の場合、年金事務所で3号分割の請求手続き、いわゆる離婚時の年金分割の手続きをすることによって、将来の老齢年金を増やすことができると思われます。ざっくりとしたイメージで言うと『婚姻期間中の元ご主人の厚生年金を半分にし、その半分をご長女がもらう』といったものです」

「そのような手続きがあるのですね。全然知りませんでした。長女は3号分割ができそうでしょうか?」

 そこで、長女が3号分割の条件を満たしているかどうか確認することにしました。条件は次の通りです。

・元夫は会社員で社会保険に加入していた(厚生年金と健康保険に加入)
・長女は元夫の扶養だった(国民年金の第3号被保険者)
・2008年4月1日以降に第3号被保険者の期間がある(※)
・離婚した日の翌日から2年を経過していない(手続きの時効が2年のため)

(※)2008年4月1日よりも前に第3号被保険者の期間があり、それらも離婚分割の対象とする場合は合意分割(当事者双方の合意か裁判が必要)の手続きをする必要がある。

 聞き取りの限りでは、長女は3号分割の条件を満たしていることが分かりました。しかし、母親の顔は曇ったままで、不安そうにつぶやきました。

「手続きをする前に元夫と話し合うことになりそうですよね? 離婚の原因が原因なので、それはちょっと厳しいかもしれません…」

「それは大丈夫です。3号分割では、そもそも、元ご主人と話し合って合意を得る必要がありません。手続きもご長女1人でできますよ」

 それを聞いた母親は少しほっとした様子を見せ、さらに質問をしてきました。

「ちなみに3号分割をすると、どのくらいの金額になるのでしょうか?」

「そうですね。大まかな金額でよければ、今ここで試算してみましょうか。仮に元ご主人の年収が400万円、婚姻期間を4年とすると…」

 筆者は試算に集中するため、会話を途中で切りました。室内には電卓をたたく音だけが響いています。

「年額で約4万3800円。月額に換算すると約3600円ですね」

「え? そんなに少ないんですか?」

「婚姻期間は4年ほどですから。そんなに多くはもらえません。それでも年金生活での月数千円は大きいと思います」

「そうですよねえ…」

 母親は複雑な表情を浮かべました。

「3号分割手続きの時効は2年です。ご長女の場合、あと半年ほどの猶予があります。書類を提出するだけで将来の年金が増やせますから、親子で話し合って手続きをするかどうか決めてください」

「そうしてみます。また何かありましたら、ぜひご相談させてください」

 母親は、気持ちを切り替えた様子でそう言いました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

コメント

1件のコメント

  1. パートの仕事すら上手くいかず、勝手にやめて、そのストレスで旦那様のお金を勝手に使って豪遊
    それで離婚されて実家で引きこもり
    こんな身勝手な引きこもり女を支援する必要あるんですかね?年金すら貰う権利なし
    この母親もバカ娘を甘やかしすぎ
    これだから日本の女はダメ人間が多いと言われるんだよ