小室圭さんで話題の米ロースクール、コロナの影響はどこまで深刻なのか
小室圭さんの留学で話題の米ロースクールですが、ここにも新型コロナウイルスの影響が出ているようです。
小室圭さんが留学している米ニューヨークのフォーダム大学は、イエズス会系の名門私立大学として知られています。現在履修しているJDコースを修了すれば、法務博士の学位が与えられますが、新型コロナウイルスの影響が米ロースクールにも現れているようです。
今回は、ニューヨーク州弁護士のリッキー徳永(徳永怜一)さんに、現地の様子について伺います。徳永さんは日本の大学を卒業後、単身渡米し、ルイジアナ州ニューオリンズのTulane University Law School(LLM)に留学。ニューヨークに拠点を移して法律事務所で7年間勤務し、現地企業や日系企業への法的助言や契約書作成などを担当しました。現在は外資系IT企業に勤務しています。
新型コロナウイルスによる影響
ニューヨークは全米でも、コロナの感染拡大が最も深刻な地域です。影響は少なくないようです。
「小室さんが住んでいるニューヨークは感染拡大が最も深刻で、ロックダウンによる影響は甚大です。フォーダム大学も例外ではなく、キャンパスは封鎖されました。封鎖されている期間は、学生や教授、学校関係者はキャンパス内に入ることはまったくできません。授業はオンラインで実施されます。予定されていたイベントもすべてキャンセルされました」(徳永さん)
「授業と単位取得については影響が最小限に抑えられているため、オンラインで受講することで勉学は続けることができます。よって、授業料の返還措置は基本的にありません。アメリカの学生は、授業料以外にも高額の諸費用を大学に支払わなければいけませんが、この費用には、ジム使用料、イベント参加費、施設使用料などがあります。キャンパスを長期間使わないとなると、学生としては損をすることにもなるでしょう」
諸費用の内容によっては、一定額の返金ができるようになっているようです。フォーダム大学では寮費、イベント参加費などは半額を返金するなどの措置があります。
卒業スケジュールへの影響は?
小室さんは2021年5月に卒業予定です。コロナでキャンパスが閉鎖されてもオンラインで授業は進むため、卒業スケジュールに影響は出ないと徳永さんは解説します。しかし、ロースクールはキャンパス生活が柱。一体どうなるのでしょうか。
「対面形式での授業では、発言して議論することで、より理解が深まります。授業以外に学生が過ごす大半の時間は、図書館での勉強に費やされます。そのため、ロースクールは勉強する施設に高額の投資をしていて、学生には恵まれた環境が与えられるのです。このように、勉強する環境に重点を置いているのがロースクールです」
「コロナによってキャンパス生活がなくなると、学生が勉強する環境に大きな影響が出てきます。結果として、成績が左右されることもあるでしょう。アメリカは、学校の成績が卒業後のキャリアに直接結び付きます」
司法試験と就職への影響は?
ニューヨーク州司法試験もコロナの影響を大きく受けています。試験は年に2回、2月と7月に実施されますが、今年夏に限り、7月ではなく9月に実施されることが決定しました。
「これは異例の措置と言えるでしょう。受験者にとっては、試験勉強をする期間が長くなったと言えますが、実はいいことばかりではありません。コロナ感染被害が大きいニューヨークの状況、ソーシャルディスタンスの必要性、集団規模の制約などから、今年9月の試験は受験者数を大幅に削減することとなりました(ニューヨーク州司法試験委員会 COVID-19アップデート)」
「受験できて一発合格できる人は問題ありませんが、そうでない人にとっては一大事でしょう。受験資格が与えられる対象は、JDかLLM保持者で初めて受験する者で、ニューヨーク州にある特定の15校の卒業生のみとなります。状況次第では、より多くの受験者を受け付けることができるようになるかもしれません。今は、新しい情報を常にチェックすることが大切です」
「就職への影響も出てきます。ロースクール生は夏休みの期間、インターンをするなどして卒業後の就職活動の準備を始めなければいけません。しかし、コロナによるロックダウンで、受け入れ先の法律事務所も閉鎖しています。インターンの経験は、就職をより有利にするためには必須です。この状況が長引くようであれば、来年まで就職の競争が激しくなるかもしれません」
以上のように、新型コロナウイルスは米ロースクールと司法試験、さらには、弁護士の就職にまで影響を与えることになっています。安全最優先で、いち早く通常に戻ることを願うばかりです。
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
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