米政府を待ち受ける「シャットダウン」と「デフォルト」の危機
米大統領選にロシアが関与した疑惑、いわゆる「ロシアゲート」の激震が広がっていますが、それとは別に、米政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)と債務不履行(デフォルト)の可能性にも注意を払う必要があります。

米大統領選にロシアが関与した疑惑、さらにはトランプ米政権とロシアの不適切な関係を含めた「ロシアゲート」は、トランプ大統領の司法妨害にまで発展する可能性が出てきました。電撃解任されたコミー元連邦捜査局(FBI)長官が、トランプ大統領からフリン元大統領補佐官とロシアの関係に関する捜査を終了するよう要求された、とのメモを公表したからです。
「司法妨害」は、1998年に当時のクリントン大統領が、研修生との「不適切な」関係に関連して弾劾裁判で問われた罪の一つです。もう一つは「偽証」でした。議会からはトランプ大統領を弾劾すべきだとの声も出ており、事態の進展が注目されるところです。
回避されたシャットダウンの危機
ところで、5月5日、米議会を通過した2017年度包括予算案にトランプ大統領が署名したことで、政府のシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)は回避されました。もっとも、今秋には再び危機がやって来る可能性があります。2018年度が始まる今年10月1日までに予算(短期間の継続予算を含む)が成立しなければ、政府はシャットダウンを余儀なくされるからです。
5月23日には、トランプ政権が2018年度予算案の詳細を発表します。注目されるのは、(1)財政赤字がどの程度想定されているか(2)減税の詳細とその財源がどうなっているか(高い経済成長を前提とした自然増収によってまかなわれるという「バラ色のシナリオ」になっていないか)(3)国防費以外の支出をどのように切り詰めるか――などといった点でしょう。
上述の2017年度包括予算では、議会通過のためにトランプ政権は少数派の民主党の要求を大幅に受け入れざるを得ませんでした。これに不満を持ったトランプ大統領は「(予算制度を是正するためには)良いシャットダウンが必要だ」とSNSでつぶやきました。これから秋にかけて本格化する2018年度予算の交渉において、民主党と対決する気が満々といったところでしょうか。
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