オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

ロシアゲートの衝撃 トランプ氏が罷免される可能性はあるのか

ロシアによる米大統領選への介入疑惑「ロシアゲート」をめぐり、特別検察官が設置されました。その捜査次第では、トランプ大統領を辞任させるための、弾劾手続きが始まるかもしれません。では、同氏が辞任する可能性はあるのでしょうか。

トランプ氏の不正な関与は明らかになるのか

 2016年の米大統領選にロシアが関与したとされる疑惑「ロシアゲート」をめぐり、米司法省が「特別検察官」の設置を決めたことが、大々的に報じられました。

 特別検察官は、政権から独立した立場で政治スキャンダルに関する捜査を担当。ニクソン元大統領退陣につながった、ウォーターゲート事件の捜査を指揮したことで知られます。刑事訴追を含めた大きな権限を有しており、今回はモラー元連邦捜査局(FBI)長官が任命されました。

過去に弾劾された大統領は2人

 そこで、注目されるのが、トランプ大統領を辞任させるための、弾劾手続きをめぐる攻防です。弾劾は、大統領が重大な犯罪などに関与した場合に、下院(定数435)の過半数の賛成で発議され、上院(同100)の出席議員の3分の2以上が賛成すれば有罪判決が成立し、大統領は罷免されます。

 マネースクウェア・ジャパンの西田明弘チーフエコノミストによると、過去に弾劾された大統領は、1868年のジョンソン元大統領と、1998年のクリントン元大統領の2人のみ。しかし、いずれも上院が「有罪ではない」と判断しています。

 研修生との「不適切な関係」をめぐり、偽証と司法妨害に問われたクリントン氏のケースでは、偽証について上院議員50人、司法妨害については同45人が「有罪」としましたが、いずれも3分の2に届きませんでした。

 1974年のニクソン元大統領のケースは、弾劾が不可避という状況で、下院が弾劾を発議する直前の辞任でした。

 現在、野党・民主党はトランプ大統領の弾劾要求を強めており、与党・共和党内でも、保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」のメンバーが弾劾の可能性について、「(疑惑が事実ならば)ある」と話すなど、理解を示す声が出ています。

1 2

西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

コメント