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ひきこもり長女は“心の病”を抱えて…障害年金7万円受給へ、両親の思い

現在までの病院を洗い出す

 初診が中学生の頃になりそうだと分かったので、次にすべきことは病院の洗い出しです。そこで、筆者は両親に質問をしました。

「障害年金の添付書類を作成するために、初診から現在まで通院、または入院した病院名とその期間を洗い出す必要があります。思い出せる範囲で構いませんので、教えていただけますか?」

 すると、両親の顔は急に曇ってしまいました。自信なさげに答えた病院は数カ所で、「他にも病院に通ったはずだけど、今はちょっと出てこない…」という状態に陥ってしまいました。母親は心配そうな目を筆者に向けています。

 筆者は両親に聞きました。

「お薬手帳や診察券、領収書などがあれば、そこから洗い出すことができます。手帳や日記からでも構いません。捨てずに取っておいてありませんか?」

「なるほど。そんな方法もあるんですね。家にいくつか残っていると思うので、探してみます」

「病院の洗い出しがある程度できたら、市区町村役場、または年金事務所へ相談に行って必要書類をもらうことになります。洗い出した病院のメモがあると、相談がよりスムーズに進みますよ」

「分かりました。ちなみに、再度ご相談したり請求の支援をしてもらったりするのは可能でしょうか?」

「はい、構いません。場合によっては有料になりますが、障害年金が受給できたら、その一部を報酬として頂く形になります。持ち出しはありませんのでご安心ください」

 それを聞いた両親は安堵(あんど)の表情を見せました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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