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夜になるとネガティブ思考に…? 「夜」は人間の心理にどう影響?

「夜になるとネガティブな思考に陥ってしまう」。夜間という時間帯は、人間の心理面にどのような影響を及ぼし得るのでしょうか。

夜、SNSに投稿すると内容がネガティブに?
夜、SNSに投稿すると内容がネガティブに?

「夜になるとネガティブな思考に陥ってしまう」。このような経験のある人は少なくないでしょう。

 以前、「朝4時のツイッター投稿で最も多い言葉は『死ね』」というデータが話題になりましたが、昼間に比べて夜間にネガティブな思考になり、気持ちがざわついて眠れなくなってしまったり、SNSなどにネガティブな投稿をしてしまったりする人もいます。

 ネット上では、「昼間は気にならないのに、なぜか夜になると心配事が頭から離れなくなる」「寝る前にマイナス思考が止まらなくなるのをやめたい」など、さまざまな体験談が上がっています。

 夜間という時間帯は、人間の心理面にどのような影響を及ぼし得るのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

「夜型」の人は要注意

Q.昼間より夜間の方が、ネガティブな思考に陥りやすくなるのは事実でしょうか。

小日向さん「そもそも、ネガティブな思考とは『否定的・後ろ向き・消極的』な心の在り方や考え方のことをいいます。ネガティブ思考に陥っている状態は、こうした思考が継続しているということです。考え続けてしまうことによって、自己否定や自己無力感が生じることも多くなります。

思考は目に見えないため、夜間の方がネガティブ思考に陥りやすくなること自体が事実であると断定はできませんが、ツイッターで朝4時台に最も多いつぶやきワードは『死ね』であることを示すデータが報道されています。データから推測する限り、やはり夜間の方が陥りやすいということがいえるのではないでしょうか」

Q.夜にネガティブな心理状態になりやすい人にみられる特徴はありますか。

小日向さん「成人の場合、起床してからおおよそ16時間たつと眠くなるといわれています。つまり、午前6時に起床する人であれば午後10時に眠くなることになるので、夜間起きている時間が長い夜型の生活習慣の人が、必然的に夜、ネガティブな心理状態になりやすいといえるでしょう。

また、こうした生活習慣にかかわらず、ささいなことで不安感が強くなる、眠れなくなるといった神経質で繊細な気質を持つ人や、何事も完璧にやらないと気が済まない完璧主義者の人は、こうした心理状態に陥りやすい性格だといえます」

Q.夜、ネガティブな思考に陥りにくくなるための過ごし方や、意識するとよいこととは。

小日向さん「最も効果があるのは、生活習慣を朝型にすることです。夜、必然的に眠くなるというだけでなく、太陽光を浴びることで脳からセロトニンが放出されるため、うつ状態になりにくいこともあります。

休みの日は昼過ぎまで寝てしまうという人や、連休になると昼夜が逆転してしまう人も、朝は頑張っていったん起床し、疲れが取れないようであれば昼寝によって疲れを取る方法をおすすめします。

先述のように、深夜のネット上でのつぶやきには、ネガティブなワードがあふれています。こうしたものを一人で見ていると『ネガティブな思考を共有している』という同調効果で自分も同じような気持ちに傾斜しがちになるので、そうした媒体から距離を置くことも意識してください」

Q.夜にネガティブな心理状態に陥ってしまった場合、どのように抜け出すのがよいでしょうか。

小日向さん「過去に、ネガティブな感情になったときに抜け出せた成功体験を思い出してください。笑える動画を見る、好きな漫画を読む、前向きな気持ちになれる言葉を読む…といった何かを使ったやり方や、温かい飲み物を飲む、シャワーを浴びる、アロマをたくなど、気持ちを切り替える行動があったと思います。

そうしたことを、自分の『ルーティン(日課)』として持っておくことをおすすめします。例えば『朝にコーヒーを飲むと仕事モードになる』などのように、日課の行動は特定の心理状態をつくりやすいのです。

ネガティブな気持ちになる原因がはっきりしているのであれば、いっそのこと、それについての対処法まで考え抜くとスッキリすることもあるでしょう。ネガティブな心理体験をそのまま終わらせるのではなく、自己分析し、オリジナルの対処法として身に付けることがポイントです」

(オトナンサー編集部)

小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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