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池袋暴走・飯塚元院長起訴 なぜ「危険運転」適用されず? 署名の影響は?

「高齢」理由に執行猶予が付く可能性は?

Q.事故当時、重傷を負っていたこともあり、飯塚被告は現在まで身柄を拘束されず、ネット上では「上級国民だから逮捕されないのでは?」などと疑われています。高齢者でもあります。仮に懲役刑の判決が出た場合、高齢だから、という理由で執行猶予がつく可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「執行猶予が付くためには、刑法(25条)では、基本的に前科がなく、被告人が宣告される判決が懲役または禁錮3年以下、または罰金50万円以下であるという形式的な要件がまず必要です。

過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金ですので、被告人が宣告される判決が懲役または禁錮3年以下であれば、執行猶予を付することができます。

さらに、執行猶予が付くためには、民事上の賠償の示談が済んでいること、被告人が十分に反省していること(被告人が自分の犯した罪を反省して二度と同じ過ちを繰り返さないという気持ちになっている)などの情状酌量事情が必要とされています。

高齢という点についてですが、執行猶予を付けるかどうかの判断で、88歳という高齢は、情状酌量事情とされる可能性はあるでしょう。なお、執行猶予を付けるかどうかの判断についても、裁判官のみによる裁判の場合と、裁判員裁判の場合とでは、後者は市民感情が入ってくる点で判断が異なる可能性があるでしょう」

Q.実刑判決が出て確定した場合、高齢であっても収監されるのでしょうか。

牧野さん「実刑判決が確定すれば、『高齢者』だからといって特別扱いされることはありません。ただ、2週間の教育期間で個人の適性や状況が把握され、処遇(労働)の種類が決まりますので、年齢や体力を考慮して、軽作業になる可能性が高いでしょう。

体が自由に動かない、認知症、その他精神や身体の障害を持っている場合、作業が軽微な介護病棟に近い場所に行きます。服役中に病死したら遺族に連絡が入り、遺体の引き取りがあります。引き取り後は葬儀や墓地への納骨が可能です」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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