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企業が退職予定者に「退職」を口止めする理由

退職に気付いたとき、周囲は?

Q.同僚が「辞めるのではないか」と、雰囲気や態度から気付くこともあるかと思います。そうしたとき、残る社員は何も聞かない方がよいのでしょうか。同僚の退職の意思が伝わるのが早いほど、引き継ぎも円滑に行われる可能性が高いと思われますが、自分たちのリスクヘッジのためにも何らかの行動を起こした方がよいのでしょうか。

小野さん「『同僚が辞めるのではないか』と残る社員が感じたとき、その人に話を聞くということはよいことです。なぜなら、仕事の引き継ぎにおいても引き止めにおいても、効果があると想定されるからです。ただ、リスクヘッジという観点でいうならば、そもそも普段からリスクヘッジはしておくべきで、退職が決まったときに行動しても、遅いケースの方がほとんどのように思います。

逆に、退職する人がいる以上、新しく異動してくる人や中途社員が採用されてくるケースもありますから、リスクヘッジという観点から見れば、新しく来る人への手厚いサポートを行う方が、業務効率化と定着へのメリットの2点から、より有効だと考えます」

Q.結局、退職予定者がいることを同僚に伝えるときは、いつ、どのタイミングで、どのように伝えることがベストなのでしょうか。

小野さん「一番は上司と退職者が相談の上、タイミングを見極めるべきでしょう。なぜなら、ベストなタイミングは会社、仕事、現在のプロジェクト、利害関係者との関係、チームメンバーとの関係など、さまざまな要因や、その時々で変化するからです。マネジメント層の社員との対話を通して意思の統一を行い、タイミングを見極めるという、一人で判断しない姿勢こそが大切となります」

(オトナンサー編集部)

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小野勝弘(おの・かつひろ)

キャリアコンサルタント、一般社団法人セルフキャリアデザイン協会代表理事、株式会社ファサディエ EAP事業部 新規事業準備室

1969年東京都生まれ。桐蔭学園工業高等専門学校電気工学科卒業。2001〜2016年までIT系企業に所属。エリアマーケティングツールに携わり、営業・商品企画・事業企画・人材教育・労務管理などを経験。企業のホワイト化・健康経営・人事労務は、今後の会社経営に欠かせない重要な領域と考え、「労働者と企業のための人材定着、若者雇用促進による企業の生産性向上」をテーマとする。2016年〜現在は株式会社ファサディエ EAP事業部所属。2018年に一般社団法人セルフキャリアデザイン協会(https://self-cd.or.jp/)を設立し、キャリアコンサルタント、EAPコンサルタントとして活動中。

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