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海外旅行先で頼まれ、荷物を日本へ…違法薬物やコピー品だったら、法的責任は?

薬物犯罪で死刑になる国も

Q.国によっては、死刑判決もあり得るというのは事実でしょうか。

井上さん「法律の規定や犯した行為・事情などにもよりますが、死刑や無期懲役などの重い判決が出ることはあるでしょう。例えば、マレーシアでは『危険薬物法』により、一定量以上の薬物(大麻であれば200グラム以上)を所持していると、違法売買の目的があったとみなされ、死刑が科される場合があります。中国やイランでも、薬物犯罪について死刑が適用される可能性があります」

Q.スーツケースのすり替えや、現地のガイドが用意したスーツケースに細工がなされ、事件に巻き込まれる場合もあるようです。そのような場合はどうでしょうか。

井上さん「スーツケースのすり替えや細工によって、知らない間に麻薬などの違法な物を輸入してしまった場合、客観的には『違法な物を輸入してしまっている』とされ、法的な責任を問われる可能性があります。このような場合、違法な物を輸入していることについて知らなかったと認められるかどうか、すなわち『犯罪の故意があったか否か』が問題となります。

個別の具体的な事情によりますが、違法な物が発見されたときの言動やそれまでの経緯などから、『違法な物が入っているとは思わなかった』との主張が認められ、無罪となるケースもあります」

Q.海外での物品受け取りや、運び屋に仕立て上げられたなどのトラブル・事件について、過去の事例・判例はありますか。

井上さん「出会い系サイトで知り合った男性からスーツケースの運搬を頼まれ、覚醒剤が隠されたスーツケースを国内に持ち込もうとしたとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われた事例がありました。この場合、スーツケースの運搬を頼まれた際のやりとりや、税関で覚醒剤の持ち込みが発覚した際の言動などから、被告人がスーツケースに違法薬物が入っているかもしれないと思っていたとは認められないとして無罪となりました。

また、『旅費と報酬を支払うので日本企業との会合に出席してほしい』と依頼され、先方への土産としてコーヒー豆の袋を預かり、それを日本に持ち込んだところ、袋の中に覚醒剤が入っていた、という事例もあります。このケースでは、被告人には覚醒剤を輸入しようという認識(故意)がなかったとして逆転無罪となっており、やはり、依頼主とのやりとりや被告人の言動などが判断要素となっています」

(オトナンサー編集部)

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井上圭章(いのうえ・よしあき)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。九州国際大学法学部卒業後、京都産業大学法科大学院修了。「労働問題」「男女トラブル」「債権回収」「不動産トラブル」などを得意分野とする。労働問題に関する相談(https://labor.gladiator.jp/)。

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