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マイクロチップ義務化、虐待罰則強化…「改正動物愛護法」成立、獣医師の見方は?

法改正で獣医師の責任も増大

Q.法改正により、現場の獣医師にはどのような影響があるのでしょうか。

小林さん「あまり知られていませんが、法改正で、診察に来た動物が虐待を受けていると疑われる場合、関係機関への報告義務が獣医師に発生します。改正前は努力義務でした。つまり、虐待の疑いがある動物に接したときは速やかに報告しなければなりませんし、しなかった場合は義務違反として罰せられます。報告義務について、獣医師は『知らなかった』では済まされません。

そもそも、動物の虐待は犯罪の予兆と捉えられます。例えば、学校で飼育されている動物が不審な死を遂げた際は、学校近辺にそういうことをする人がいるというサインなので警察が動きます。今回の法改正は、動物を守ることはもちろん、社会犯罪を未然に防ぐという意味合いもあります」

Q.では、法改正による虐待への厳罰化は評価していますか。

小林さん「はい。動物虐待は児童虐待やDV、ネグレクトなどの社会問題と関連ある内容だと国が判断していますし、私たちも現場ではそういう意識を持って日々仕事をしています。犯罪と動物の虐待の関連性を研究している獣医師のグループも存在します。報告義務を通じ、社会の安全に寄与していくのがわれわれ獣医師の義務だと思います」

Q.販売業者は、生後56日以内の犬猫を販売してはいけないことになりました。この点については。

小林さん「やはり、一部の人間による過剰繁殖が背景にあると思います。『ブリーダー』さんは、自分の職業にプライドを持って仕事をしています。ただもうかるからと、むやみに動物を繁殖している『にわかブリーダー』とはっきり区別しなければいけません。職業としてのブリーダーを社会が認めるべきですし、ブリーダーを免許制にしたりすることは、とても大事だと思います。にわかブリーダーの行為でブリーダーの地位が下がってしまいます。この件も、社会全体の問題として真剣に議論をした方がよいと思います」

 改正法のうち、マイクロチップの義務化は公布から3年以内、生後56日以内の規制は公布から2年以内、その他の部分は公布から1年以内にそれぞれ施行されます。

(オトナンサー編集部)

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小林元郎(こばやし・もとお)

獣医師

米ニューヨーク州マンハッタンのAnimal Medical Centerにて研修(1990~1991年)。1993年、成城こばやし動物病院を開業。公益社団法人東京都獣医師会副会長、先制動物医療研究会副会長、東京城南地域獣医療推進協会(TRVA)理事、アジア小動物獣医学会所属。

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