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神経質なA型夫の元を去った39歳妻、性格を利用して生活費を手にするまで(下)

世間体が傷つくことを認識させる

 ところで、智子さんの夫が生活費を払わなかった場合、何を失うでしょうか。これまで夫が築いてきた社会的な信用、評価、人間性…いわゆる「世間体」にも傷がつく可能性があります。夫にそのことを認識させることが大事です。

 夫はもしかすると、表向きは良識のある常識人だと周囲の人間から認識されているかもしれません。しかし、実際には全く逆。非常識で非情で卑劣極まりない人間です。仕事や自宅から一歩離れた途端、夫が一体、何をやっているのか…「本当の姿」を周囲の人間に知られたらどうなるでしょうか。

 第1に夫の両親。夫は自分の父親や母親に都合の良いことしか話していないでしょうが、「子どもを精神的に追い詰め、妻を金銭的に追い詰め、妻子に逃げられるような息子」に育てた覚えはないはずなので、この上もなく悲しむでしょうし、夫を見る目が変わり、親子関係に支障が出るに違いありません。

 第2に会社の同僚や先輩、上司、人事部です。「子どもを精神的に追い詰め、妻を金銭的に追い詰め、妻子に逃げられるような社員」と知りながら一緒に働いているわけではないでしょう。万が一、夫の本性を知れば、夫との信頼関係は跡形もなく崩れ去り、信じるに値しない人間というレッテルを貼られ、一斉に周囲から消えてなくなることは、想像にかたくありません。

 さらに「別居中」から「離婚成立」に悪化すれば、世間体への悪影響はもっと深刻です。なぜなら、別居なら妻子が戻ってくる可能性もありますが、離婚すれば復縁の可能性はゼロなので、別居と離婚は段違いだからです。

「その人、奥さんに捨てられたんだって」

 そんなふうに、派遣社員に吹聴されれば、顔を赤らめずにはいられません。そのことを踏まえた上で、智子さんは夫に「生活費を毎月10万円渡してくれれば、このことは誰にも話さないし、とりあえず離婚しなくていいから」と伝えたのです。

 実際のところ、「妻子と別居中」という現実に対して両親や同僚が差別的な見方をするかどうか定かではないので、本当に長年積み上げてきた「世間体」が一瞬にして崩壊するとは限りません。

 しかし、A型は極度の心配性で、目の前の現実は一つなのに、その目には悲観的に映る傾向があるので、「このままでは大変なことになる」と危機感を持ったのでしょう。夫は智子さんの望み通り、月10万円を渡すことを約束してくれたのです。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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