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「脂肪肝」放置すると“肝がん”リスク増 専門医が教える“要注意食品”とは?

脂肪肝の原因となる主な食べ物や飲み物について、消化器病専門医に聞きました。

「脂肪肝」の原因となる飲食物とは?
「脂肪肝」の原因となる飲食物とは?

 健康診断で脂肪肝と指摘されたにもかかわらず、放置していませんか。脂肪肝を放置すると肝硬変や肝がんの発症リスクを高めるといわれているため、注意が必要です。脂肪肝を改善するには、食事や飲酒の量を減らしたり、運動の回数を増やしたりするなど、生活習慣を見直す必要があります。

 どのような食べ物を摂取すると、脂肪肝になりやすいのでしょうか。脂肪肝の原因となる生活習慣や、脂肪肝を引き起こしやすい食べ物などについて、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。

健康的なイメージがある食品も要注意

Q.まず、脂肪肝の原因や危険性について、教えてください。

安江さん「脂肪肝とは、肝臓に脂肪が多くたまる病気を指します。肝臓は食事で摂取した糖質や脂質を分解、合成し、エネルギーを蓄える重要な臓器です。食べ過ぎや運動不足などで余ったエネルギーが中性脂肪として蓄積されていくと、肝臓の中に脂肪が過剰に蓄積し、脂肪肝となります。

脂肪肝には大きく分けて、飲酒が原因で発症する『アルコール関連肝疾患』と、あまりお酒を飲まない人でも発症する『代謝機能障害関連脂肪性肝疾患』があります。近年増加しているのが代謝機能障害関連脂肪性肝疾患です。

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患の原因の一つはインスリン抵抗性です。インスリンは血糖値を下げる働きがあるホルモンですが、食べ過ぎや運動不足が続くと、体の中でインスリンが効きにくくなり、血液中の脂肪酸が増加し、肝臓に取り込まれる脂肪が増えます。それにより、脂肪肝を引き起こすのです。

さらに肥満、特に内臓脂肪型肥満があるとインスリン抵抗性が悪化しやすく、脂肪肝の進行リスクを高めます。

脂肪肝は自覚症状がないので注意が必要です。腹痛や倦怠(けんたい)感などの症状がないケースがほとんどで、健康診断の血液検査で肝機能異常(AST・ALTの上昇)を指摘されたり、腹部エコー(腹部超音波検査)で『肝臓が白く光っている』といわれたりして、自分が初めて脂肪肝だと気付くケースが多いです。

脂肪肝のうち約10~20%は代謝機能障害関連脂肪肝炎に進行し、さらにその一部が肝硬変や肝がんへと進行する可能性があるため、健康診断で脂肪肝を指摘された場合、放置してはいけません」

Q.では、脂肪肝の発症リスクを上げる食べ物について、具体的に教えてください。例えば、過剰摂取してしまうと脂肪肝になりやすい食べ物はありますか。

安江さん「脂肪肝の発症は、普段何気なく食べているものが深く関わっています。脂肪肝と聞くと、脂っこい食事ばかりが原因と思われがちですが、実際には私たちが毎日のように口にしている意外な食品が原因となっていることも少なくありません。

先述のように、脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積された状態です。通常、肝臓は食べ物から取り入れたエネルギーを使って、私たちが動くためのエネルギー源として必要なときに分解、供給する役割を担っています。しかし、必要以上にエネルギーを摂取すると、使い切れなかったエネルギーが中性脂肪として蓄えられ、やがて肝臓内に脂肪がたまってしまうのです。

脂肪肝の発症リスクを高める代表的な食べ物は、高カロリーで糖質や脂質が多く含まれる食品です。例えば、唐揚げやとんかつなどの揚げ物、ハンバーガーやフライドポテトといったファストフードは脂質とカロリーが高く、日常的に食べる習慣があると体に取り込まれる脂肪が増え、脂肪肝を引き起こしやすくなります。

また、ケーキやドーナツ、スナック菓子、菓子パンなどの菓子類は砂糖と脂質が豊富で、知らず知らずのうちに摂取カロリーが増加し、肝臓に脂肪が蓄積される原因となります。

さらに、砂糖入りの飲み物にも注意が必要です。コーラやサイダーのような砂糖入りの炭酸飲料やフルーツジュース、スポーツドリンク、缶コーヒーなどは手軽に飲める一方で、驚くほど多くの糖分が含まれています。

例えば500ミリリットルの砂糖入りの炭酸飲料の中には角砂糖10個分以上の糖分が含まれている商品もあり、日常的に飲んでいると過剰な糖質摂取となり脂肪肝の原因となります。特に甘い飲み物に含まれる果糖(フルクトース)は肝臓で直接代謝されて中性脂肪の合成を促進するため、過剰摂取は脂肪肝の発症リスクを高めます」

Q.健康的なイメージがありながら、実は脂肪肝の原因となる食べ物はありますか。

安江さん「『健康に良い』と思われがちな食品でも、過剰に摂取すると脂肪肝の原因となることがあります。その代表例が果物です。果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で適量であれば体に良い食品ですが、果物に含まれる果糖も過剰に摂取すると脂肪肝の原因となる可能性があります。

特にジュースやスムージーにして一度に大量に摂取すると、短時間で多くの果糖を体内に取り込むことになり、肝臓で中性脂肪が合成されやすくなってしまいます。

さらに、健康飲料や市販の野菜ジュースも注意が必要です。これらの飲料には飲みやすくするために糖分が加えられている場合が多く、糖質の過剰摂取につながる恐れがあります。知らず知らずのうちに『健康のために』と飲んでいたものが、実は脂肪肝の原因になっていることも少なくありません。

また、ナッツ類は不飽和脂肪酸を多く含み、適量であれば健康に良い食品ですが、カロリーが高いため一度に大量に食べてしまうとカロリーオーバーとなり、脂肪肝を助長する可能性があります。アルコールも脂肪肝を引き起こす大きな要因の一つであり、特に飲酒量が多い人はアルコール関連肝疾患となるリスクが高まります。

脂肪肝の予防、改善のためには、脂質や糖質の多い食品の過剰摂取を避けることが大切ですが、『どの食品が悪い』ということだけでなく『どれだけ摂取するか』も重要なポイントです。健康的な食品でも摂取量が多過ぎれば脂肪肝のリスクを高める原因となるため、適量を意識することが予防につながります」

【要注意】「えっ…こんなに!?」 これが「脂肪肝」を引き起こす食べ物です(画像14枚)

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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