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実は“虐待まがい”の対応が…保育園や学校を見学できる「公開授業日」で見たものを過信してはいけない理由

保育園や幼稚園、学校を見学できる日として設定されていることが多い「公開授業日」。筆者は「公開日だけではなく、普段の様子も観察するべき」と指摘します。その理由とは……。

公開授業日だけでは見えないことも…※画像はイメージ
公開授業日だけでは見えないことも…※画像はイメージ

 来春に保育園や幼稚園への入園を控えている子をもつ親御さん、また、発達に課題があり、通常級か支援級か、あるいは特別支援学校かを検討している親御さんは、公開保育や公開授業に参加することが多いと思います。

 これらの機会に参加することはよいことですが、普段の様子を知るには、園や学校側が設定した公開日だけではなく、日常の様子を観察することが重要です。

 例えば、保育園や幼稚園であれば、近所の公園へお散歩に行く際に、散歩しているふりをしながら、さりげなく保育士や幼稚園の先生の対応を見ることができます。そのときに見た“日常の対応”は、安心して預けられるかどうかの判断材料になります。

 これは特別支援学校でも同様であると、発達障害児を育ててきた私は思います。全く関係のない日に個人で参観を申し込めば、全ての先生にその情報が共有されるわけではありません。そのため、全クラスを見て回る際に、公開授業のときよりも“普段”の様子を観察することができます。

 また、学校内に入れなくても、運動場の外から体育の授業の様子などを見て、厳しい言葉をかけられていないか、体罰が行われていないかを確認することも可能です。

 昔、あるテレビ番組で、普段の食事を見に行くと告げずに、いきなり家庭に訪問して「今日の晩ごはんを見せていただけますか?」と尋ねる企画コーナーがありました。訪問先では、カップラーメンだったり、食べかけのものだったり、前日の残り物だったりと、その家庭の普段の様子が映し出されていました。これと同じように、日常の様子を観察することが重要だと思います。

「PTAの役員は避けたい」と考える人へ

 さて、特別支援学校や支援級についてですが、通常学級とは異なり、複数の先生が関わっています。そのため、「1人の先生が不適切な対応をしていても、他の先生の目があるので防げるのではないか」と思いがちですが、実際にはそうではありません。

 特別支援教育に関わる先生は熱意のある人が多いと信じたいですが、同僚との人間関係を優先させたいという思いから、内部告発が難しいと感じることもあるのでしょう。

 でも、傍観している先生たちも同罪だと、私は思います。

 私が虐待を発見した際、校長に連絡しても「初耳だ」と言われました。知らないはずはないのですが、自分の学校内でのトラブルを表沙汰にしてほしくないのだと思いました。校長だけでなく、管轄している自治体の教育委員会に相談し、第三者委員会を入れてもらうことが望ましいと思います。

 少し強い表現になってしまいましたが、だからこそ、公開授業のときだけ行くのではなく、普段の様子も見に行くことが重要だと感じるのです。

 一方、既に学校と関わりがある人の中には、「PTAの役員はできるだけ避けたい」と考える人も多いと思います。

 しかし、役員を引き受けることで、特別な用がなくても学校に出入りすることができます。すると、役員の集まりの部屋だけでなく、その行き帰りに職員室の前や他のクラスの前を通ることができるため、自然と普段の学校の様子を見ることができます。また、不安なことがあった場合にも相談しやすくなります。

 もし、虐待のような行為が行われていると感じた場合、それを監視する役割としてPTAの役員を引き受けることも、一つの方法だと思います。

 教育は人間が行うものです。ホームページやパンフレットで「体罰・虐待のない学校づくり」「いじめのない学校づくり」とうたっていても、閉鎖された空間では何が行われているのか分かりません。そういう意味でも親御さんは、普段の様子を見に行く機会を持つことが、子どもを守ることにつながると私は思っています。

 これは、障害のある子どもに対しても同じです。実際、ある特別支援学校の公開授業のとき、怒鳴ったり、小突いたりする虐待まがいの対応をしている先生に遭遇したことがあります。

 私が目にしたその先生は、「この子たちにはハンディキャップがある。いずれ世の中の荒波にもまれることになる。だから、小さいうちからできるだけ厳しく対応して育てなくてはならない」という変な信念を持って虐待をしていました。「よかれと思って」対応しているのでなお、厄介です。よかれと思ってやった行為は、たとえ相手に嫌がられても、間違っていても「許されるべきだ」と勘違いしているのです。

 保育園の0歳〜1歳児クラスや、特別支援学校の重度のクラスでは、子どもたちはまだ言葉でSOSを出すことができません。また、同じクラスの他の子どもたちも「先生が◯◯ちゃんをたたいていた」「髪の毛を引っ張っていた」と親に伝えることは難しいでしょう。

 子どもたちの安全と健やかな成長を守るためには、表情が硬くなっていないかなど、日常の様子を観察し、必要に応じて適切な対応を取ることが大切です。保護者としてできることを一つずつ積み重ねていきましょう。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「えっ…?そうだったの……?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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