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健康診断で「白血球数が少ない」と指摘 “重病”のサイン!? 原因&必要な改善策とは 医師が解説

白血球の数が減少する主な原因や必要な改善策について、医師に聞きました。

白血球数が少なくなる主な原因は?(画像はイメージ)
白血球数が少なくなる主な原因は?(画像はイメージ)

 3月から4月にかけて、健康診断を受ける人は多いと思います。健康診断では、血液検査で白血球数や赤血球数などを調べるのが一般的ですが、中には、白血球数が少ないという結果が出る人がいるようです。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。白血球数が少ない場合のリスクや必要な改善策などについて、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック(東京都江東区)院長の澤口達也さんに聞きました。

ストレスや栄養不足が原因の可能性も

Q.そもそも、白血球にはどのような役割があるのでしょうか。

澤口さん「白血球は、体内に侵入した病原体や異物を排除し、健康維持のために重要な役割を果たします。白血球には『好中球』『リンパ球』『単球』など、いくつか種類があり、それぞれ異なる免疫機能を担当しています。白血球の種類と役割は次の通りです」

■好中球
細菌感染に対する防御の第一線として機能し、病原体を貪食(飲み込んで分解)することで感染を防ぎます。また、一部の真菌(カビ)に対してもリンパ球の一種であるT細胞、単球から生じるマクロファージと協力し、免疫に関与します。

■リンパ球
ウイルス感染やがん細胞に対する免疫を担当し、B細胞、T細胞、NK細胞に分かれます。B細胞は各抗原に特異的な抗体を作ります。またT細胞は感染細胞を直接攻撃したり抗体産生を活性化したりし、NK細胞はがん細胞やウイルス感染細胞を素早く排除します。

■単球
血液中に存在し、組織に移動するとマクロファージに分化して殺菌作用や抗腫瘍作用、T細胞への抗原提示作用を有します。

■好酸球
寄生虫感染やアレルギー反応に関与し、特に線虫や吸虫などの蠕虫(ぜんちゅう)の防御に重要です。また、ぜんそくやアレルギー疾患にも関与します。

■好塩基球
ヒスタミンを放出してアレルギー反応を引き起こし、じんましんやアナフィラキシーなどの即時型アレルギーに関与します。

一般的に白血球数は1マイクロリットル当たり3000~9000個です。そのうち好中球が40~70%、リンパ球が20~50%、単球、好酸球、好塩基球は数%程度であることが多いです。

もし白血球の数が少ない、いわゆる白血球減少症に陥った場合、感染症にかかりやすくなり、風邪や肺炎などが重症化しやすくなります。白血球の数が極端に少ない場合、敗血症などの重篤な状態を引き起こすリスクも高まります。

さらに、好中球が極端に減少した場合は、無顆粒球症と呼ばれ、通常なら防げる細菌感染により、命が脅かされることもあります。

Q.人によっては、健康診断で白血球の数が少ないと指摘されることがあります。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

澤口さん「健康診断で白血球の数が少ないと指摘された場合、考えられる原因は次の通りです」

■一時的な生理的要因
・風邪やインフルエンザなどのウイルス感染の初期段階では、白血球が一時的に減少することがあります。

・強いストレスや過労、睡眠不足によって免疫機能が低下し、白血球が減少することがあります。

・栄養不足。特にビタミンB12や葉酸の不足が原因で造血機能が低下し、白血球が減ることがあります。

■骨髄の機能低下
・再生不良性貧血や骨髄異形成症候群(MDS)では、骨髄の造血機能が低下し、白血球の産生が減少します。

・白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんでは、異常な細胞が骨髄を占拠し、正常な白血球が作られなくなることがあります。

■ウイルス感染症
HIV感染症やB型肝炎、C型肝炎などのウイルス感染症では、白血球の数が慢性的に低下することがあります。

■薬剤の影響
抗がん剤や免疫抑制剤、抗精神病薬、抗てんかん薬などの薬剤が骨髄抑制を引き起こし、白血球を減少させることがあります。

■自己免疫疾患
全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチなどの自己免疫疾患では、免疫システムが自分の白血球を攻撃するため、白血球数が低下することがあります。

■遺伝的要因
まれではありますが、先天的な白血球減少症や、慢性良性白血球減少症といった遺伝的要因が関与することもあります。

白血球の数が減るケースのほとんどは一時的な生理的要因であり、二次健診の際に白血球が正常化している場合は問題とならないことが多いです。二次健診時にも白血球が低い場合は、値の推移にもよりますが、追加の精査が必要となる場合もあります。

【豆知識】健康診断で指摘されたら要注意! これが、「白血球数が少なくなる」主な原因です(画像17枚)

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澤口達也(さわぐち・たつや)

医師、医学博士 豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック院長

認定内科医として、日々、内科疾患を中心として幅広く診療を行っている。また糖尿病専門医、内分泌内科医として、糖尿病や肥満症、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病、甲状腺疾患などを専門的に診療している。自身でもさまざまな食事療法やトレーニングを実践しており、過去にはアスリートフードマイスターや加圧トレーニングインストラクターの資格を取得。また現在、健康スポーツ医、格闘技イベントでのリングドクターとしても活躍中。豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック(https://sawagucci.com/)。

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