台風25号接近も…相次いだ地震、豪雨、台風で関西地方の屋根修理追いつかず 関係者に聞く
相次ぐ自然災害で被害を受けた関西地方で、屋根の修理が追いつかない事態となっています。
台風25号の影響が懸念されていますが、関西地方では相次ぐ自然災害で被害を受けた屋根の修理が追いつかず、「5カ月待ち」という状態も発生しています。瓦などの資材も品薄状態と言われており、ブルーシートが広がる光景がいつ解消されるのか、見通しがつかない地域もあります。関係者に聞きました。
応急措置さえできないケースも
関西では6月18日、最大震度6弱の大阪北部地震が発生。7月上旬の西日本豪雨でも被害を受けた地域があり、9月4日には台風21号が上陸、大きな被害が発生しました。9月30日~10月1日に日本列島を縦断した台風24号の影響は少なかったものの、復旧作業がさらに遅れることになりました。
大阪府と奈良県を中心に屋根修理を手掛けている森建築板金工業(奈良県大和高田市)の森亮介社長に聞きました。
Q.災害を受けた屋根修理について、大阪北部地震以来、何件受注していますか。
森社長「大阪府と奈良県を中心に、問い合せは約510件あり、受注したのは約320件です。職人の数が足りず、それ以上は受注しようがないのです」
Q.例年は、どのくらいですか。
森社長「例年なら7~8月は依頼が減る時期です。昨年は大小合わせて約200件でした」
Q.現在、何件が待機状態になっていますか。
森社長「被害状況診断とブルーシートなどでの応急措置を待ってもらっているのが235件です。応急措置はしたものの、本格的な修理工事を待っておられるのが約70件です」
Q.最大で何カ月待ちになっているのでしょうか。
森社長「被害状況の診断は約2カ月、工事は5カ月待ちくらいになります。来年2月くらいまで着工できないところもあります」
Q.どの業者も同じような状態ですか。
森社長「同じだと思います。『どこも予約できない』という問い合わせに対し、応急処置だけでも11月末まで待っていただくことを伝えると『待てない』と電話を切られていましたが、最近は『やっぱりそうですよね』という電話が増えています。
お客さまの中にも諦めムードが広がっているようです。つまり、雨漏りなどの被害があっても、問い合わせもしないままのお客さまも相当数に上ると思います」
Q.屋根瓦やブルーシートなど、資材も足りないのでしょうか。
森社長「ブルーシートは奈良では比較的手に入りやすいですが、大阪はかなり品薄と聞いています。大阪から奈良に買いに来る人も多いと聞きました。地震の後は、瓦、屋根材であるスレートなども品薄状態です。発注しても納品される見通しが立たない物もあります」
Q.応急措置を待ってもらっている間、どのような対応をされていますか。
森社長「弊社の場合、被害状況を診断してからどうするかをお客さまと考えますが、今はそれすら追いつきません。すぐに雨漏りがしないように養生だけでもさせていただきたいのですが、とりあえず、雨漏り対策のアドバイスや、安全な場合にお客さま自身でもできる養生方法のアドバイスなどをしています」
次に、瓦の大産地である兵庫県淡路島の製造業者でつくる「淡路瓦工業組合」(兵庫県南あわじ市)に聞きました。
Q.「瓦が足りない」という声を聞きます。
担当者「ひと口に瓦と言ってもいろいろな種類があり、大部分は供給できています。ただし、屋根の一番上の部分に使う『棟瓦』と端の部分の『袖瓦』の何種類かは欠品が出ていて、フル生産している状態です」
Q.どのくらいで供給できますか。
担当者「増産分を9月末くらいから出荷していて、年内には行き渡ると思います」
Q.屋根の修理が追いついていない状態です。
担当者「瓦が足りないというより、屋根職人が足りないのが大きいと思います。消費者から直接、組合に『修理用の瓦をください』という電話がかかってきました。こんなことは初めてです。地震の後はまだなかったんですが、台風21号の後、かかってくるようになりました。修理業者が引き受けてくれないので、自分で何とかしたいということでしょうか」
なお、森建築板金工業では、身近な材料でできる応急的な雨漏り対策のイラストを作成し、自社のツイッターなどで公開しています。
(報道チーム)
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