オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

生理中に「チョコレートが食べたくなる」に共感の声…でも「なんで?」「食べていいの?」「経血増えない?」→産婦人科医に全部聞いてみた!

「生理になると無性にチョコレートが食べたくなる」経験のある女性はわりと多いようですが、「なんで?」「食べていいの?」という疑問の声も。産婦人科医に全部聞いてみました。

「生理になるとチョコが食べたい」謎現象…経験ある?
「生理になるとチョコが食べたい」謎現象…経験ある?

「生理になるとチョコレートが食べたくなる」という経験、あなたにはありますか? 実際、生理前から生理中にかけて、無性にチョコレートが食べたくなったことがある女性は少なくないようで、「つい食べちゃいます」「分かる。あれってなんでだろうね?」「我慢せずにチョコを食べてもいいの?」「チョコ食べると経血が増えるって聞いたことあるけど…」など、共感とともに疑問の声も聞かれます。

 実際のところ、生理中にチョコレートが食べたくなったら、我慢せずに食べてもいいのでしょうか。神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんに教えていただきました。

適度に食べるなら問題ないが…

Q.生理前から生理中にかけて「無性にチョコレートが食べたくなる」ことがあるのは事実といえますか。

尾西さん「一般的にはよく聞く話ですが、生理前から生理中にかけてはチョコレートに限らず、食欲が増進することが明らかになっています。これは排卵から生理にかけて増加する『プロゲステロン』という女性ホルモンの一種が作用しています。妊娠している可能性のある時期なので、体が栄養を蓄えようとするのは理にかなっていますね。

また、生理直前になると女性ホルモンが減少するのですが、それに伴い、気分を安定させる脳内の神経伝達物質『セロトニン』も減少してしまいます。そのため、気分の落ち込みなどのPMS(月経前症候群)症状が起きることが分かっているほか、セロトニン減少により食欲が増加してしまうということもあります。

『なぜチョコレートか?』については、次に挙げるようなさまざまな効果が報告されていますが、すべてそれまでの経験により、自分で自分を治そうとする自己治癒作用であると考えられます」

(1)倦怠(けんたい)感に対する「甘いものを食べる(=血糖値を上げる)と改善する」という学習によるもの

(2)カカオマスポリフェノールによる抗ストレス作用、認知機能の向上(仕事などのパフォーマンス向上)

(3)カカオに含まれるカフェインの類縁物質である「テオブロミン」によって、セロトニンの生成が促進されることでリラックス効果が得られること、血管拡張作用による血流の改善効果

Q.もし、生理中にチョコレートが食べたくなったら、我慢せずに食べてもいいのでしょうか。

尾西さん「はい、適度に食べる分には問題ありません。ただし、チョコレートは脂肪と糖質が非常に多いため、摂り過ぎには注意が必要です。

急激に血糖が上がることにより、その後の血糖低下により食欲が異常に高い度合いまで進んでしまったり、眠気やだるさが出たりすることもあります。また、カフェインも含まれているため、取り過ぎると不眠やイライラ、不安の原因になってしまいます。特に、最近人気のハイカカオチョコレートはカフェイン量も多いため、食べ過ぎには注意しましょう」

Q.ちなみに、生理中にチョコレートを食べると「経血量が増える」「生理痛が悪化する」ともいわれますが、これは本当なのでしょうか。

尾西さん「このような報告はありません。おそらく、チョコレートに含まれるカフェインに血管収縮作用があることから『生理痛が悪化する』、鉄分が豊富といわれていることから『経血量が増える』などと言われるようになったと思われますが、逆に、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは血管を拡張し、脳血流を増加させる効果が報告されています。

また、『チョコレートには鉄分が豊富に含まれているため、貧血改善になっている』ともいわれていますが、チョコレート中の鉄分は植物性のため、吸収率は肉や魚の鉄分に比べると非常に少ないです。実際にチョコレートで貧血を改善するには、相当な量を摂取しないといけなくなってしまいます」

Q.生理中の過ごし方について、アドバイスがあればお願いいたします。

尾西さん「生理前から生理中にかけては、女性ホルモンが急激に変化することから、気分のアップダウンや頭痛、倦怠感などを感じやすくなります。これを治すために、自然にチョコレートが食べたくなると考えられるので、適量であれば我慢する必要はありません。

有酸素運動や、きちんとした食事・睡眠がこの時期の不調(PMS症状)の改善に効果があることが分かっているので、この時期は特に生活習慣を見直してみましょう。

また、チョコレートとコーヒーは一緒に食べるととてもおいしいのですが、鉄分はコーヒーと一緒に摂取すると吸収が阻害されてしまうので、チョコレートを食べる際に鉄分補給を意識する場合は、コーヒーではないものと一緒に頂きましょう」

(オトナンサー編集部)

【画像】「ナプキンからあふれるレベルの大出血」が生々しい…これが閉経前の“ドバドバ出血”経験者の声です…!(8枚)

画像ギャラリー

尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

コメント