「離婚=もう一生会わない」とは限らない…離婚後に元パートナーと会い続ける女性たちの“赤裸々な事情”
世の中には「離婚してからも会い続ける元夫婦」が少なからず存在します。どのような事情から離婚に至り、新しい関係性を見つけたのか――。専門家が知る2つの実話です。

離婚した元パートナーと、別れた後も定期的に会う――。そう聞いて、「いい関係性」とうらやましく感じる人もいれば、「あり得ない」と拒否感すら覚える人もいるかもしれません。
「恋人・夫婦仲相談所」所長の三松真由美さんは、そうした“離婚後も良好な関係の元夫婦”について「意外と存在する」とした上で、「離婚のいい面にフォーカスすれば可能」と指摘します。さまざまな理由から離婚を選択したものの、元夫と会い続ける2人の女性の実話……そこには“離婚したからこそ”といえるかもしれない、新たな関係性がありました。
「大人になれないピーターパン」のような夫との暮らし
「離婚後も良好な関係を保っている元夫婦」は意外と存在します。傷つけ合い、憎しみ合った離婚劇を乗り越えてきた人たちにとっては信じられないような話ですが、離婚後もお互いSNSでつながっていたり、一緒に食事をしたりもする元夫婦は実際にいるのです。
「そんなに仲良しなら、なぜ離婚したの?」というツッコミも聞こえてきますが、それはそれで当人たちにしか分からない理由があるようです。
紙一枚のことですが、結婚しているか、いないかで男女の気持ちは大きく変わります。住居のことや子どものことなど、夫婦という理由でさまざまな問題が絡んでくる現実があるからです。
「今でも月に1~2回は元夫と会っているかも」と笑うのは、雑誌編集者の美希さん(仮名、36歳)。
編集者とカメラマンという仕事関係で出会った彼。好きな音楽や服の趣味が一緒で、もともと、仕事以外でも気の合う仲間だったそうです。そのうち、一緒に暮らすようになり、第1子の妊娠が分かったところで結婚。「典型的な似た者同士の“お友達婚”でした」と美希さんは振り返ります。
「彼はイクメンだったし、カメラマンは時間の自由が利く。一方で、私の仕事は不規則な勤務だったので、息子の育児に関わった時間は彼の方が長かったかもしれません。夜遅くに私が帰ると、息子に添い寝しながら一緒に寝落ちしている子どもみたいな彼の寝顔を見て、『いい夫を見つけて、私って幸せ』と思っていました。だって、他の働くママたちは仕事と育児のはざまでいつもイライラしていて、夫の悪口しか言っていなかったですから」
転機が訪れたのは、息子が2歳になった頃。彼が突然、「フォトジャーナリストとしてキャリアを積みたい」と言いだし、海外へ頻繁に出かけるようになってからです。
「最初は仕事の合間を縫って2週間ぐらいの滞在を繰り返していましたが、そのうちに『定期的に受けていた仕事を降りて、アフリカで暮らしたい』と言いだしたのです。私は仕事があるし、子どももいるし、もちろん、簡単にOKは出せません。話し合った末、1年間の期限付きで、彼には1人で行ってもらうことにしました」
現地からはあまり連絡もなく、たまに更新されるFacebookを通じて、かろうじて様子が分かる程度。彼いわく、現地で撮った写真を通信社に持ち込むなどのジャーナリスト活動はしていたそうですが、結局、はかばかしい成果はなく帰国。
これでフォトジャーナリストは諦めたかと思いきや、今度は環境保護活動にのめりこみ、「地球環境が危機にひんしていることを発信したい」と東南アジアの熱帯雨林地域に住みたいと言いだしました。
「1年間、育児も私、稼いできたのも私。彼は『自分の貯金を使ったので、君に迷惑はかけていない』と言いましたが、家族の将来を考えれば、本当は貯金を崩すどころかためなければいけない時期。『私と息子の将来はどう考えているの?』と問いただすと、『海外の物価の安い所に住めば、何とかなるよ』って。これはダメだと思って、こちらから離婚を切り出しました。
人としては魅力的だし、今でも気の合う人ですが、しょせんは大人になれないピーターパン。将来を一緒に歩いていけるパートナーではないと判断しました。でも、夢を語る姿を見ていると、生き生きしていて。息子にも、夢を語れる人になってほしいと思うこともあります」
結局、彼がマンションを出ていく形で離婚。元夫は今でも息子に会いに家へ来て、ご飯を一緒に食べるそうです。
「息子にとっては昔から、『パパ=たまに帰ってくる人』でしたから、今でも離婚したとは思っていないかも。小学校に入るときまでにはきちんと言わないと、と思っています」
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