オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

年収480万円の夫と離婚した34歳主婦、養育費は「定額」「変額」のどちらにすべきか(下)

娘が大学に進学するか分からない

 2つ目の事情ですが、キャッシュフロー上、大学に進学する前提で支払期間を「22歳まで」に設定し、大学の入学金や授業料などを勘案していますが、本当に娘さんが大学に進学するかどうか分からないことです。多くの場合、子どもが受験生でもない限り、離婚の時点で子どもの進路を特定することは難しいです。

 それでも、途中で「元夫婦」が話し合って養育費の増額したり、延長したりしたくないのなら、「仮の進路」を決めて、それを元に養育費を決めるしかありません。順子さんの場合、小学校、中学校、高校、大学はすべて公立に設定しました。私立が含まれていた場合、ケチな夫が難色を示すのは目に見えていたからです。

 前述の通り、大学進学を前提として養育費の金額を計算すると、1年目の養育費は定額の場合、年86万4000円(月7万2000円×12カ月)ですが、変額の場合は51万0000円なので、その差額である35万4000円が大学などの学費です。

 当初のもくろみ通り、娘さんが大学に進学すればよいのですが、例えば、本人の希望で大学を受験せず、高校を卒業して就職したらどうなるでしょうか。もちろん、娘さんが学校を卒業し、正社員として就職し、一人暮らしを始めたのに、養育費を支払う必要はありません。具体的には18歳から22歳までの養育費(計704万円)の支払いは免除されます。

「将来の養育費は仕方ありませんが、過去の養育費は違います」

 私は順子さんに違いを説明したのですが前述の通り、離婚1年目の差額(定額-変額)は35万4000円で、これは大学資金です。

「娘が大学に行かなかった時、養育費を返せって言われるのは嫌です!」

 順子さんは嘆きますが、定額払いの場合、娘さんが大学に進学しなかった時に、上記の差額を返すよう元夫が求めてくる可能性はあるでしょう。一方、変額払いはどうでしょうか。変額払いの養育費は必要な分を必要な時に支払うという形式です。そのため、毎月(毎年)の収支に余裕はなく、養育費は余らず、すべて使い切ります。

 養育費を変額にしておけば、夫が大学の学費支払いを開始するのは娘さんの大学進学と「同時」です。前倒しして支払う必要がないので進路変更による過払い分は発生しません。そもそも、手元に養育費は残らないのだから返そうにも返せません。結果として、夫は目先のお金(出費の減少)欲しさに、順子さんは将来のトラブル怖さに、養育費の支払い方法に「変額」を選んだのです。

1 2 3

露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

注)離婚手続きに関して、個別事情を踏まえた離婚手続きや離婚条件に関する法的観点からの助言が必要な場合は弁護士に依頼してください。

各都道府県の弁護士会
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/bar_association/whole_country.html

法テラス
https://www.houterasu.or.jp/

コメント