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千葉市、飲食店の喫煙室撤去費を助成 2019年1月から、10万円上限に

受動喫煙防止対策を進めるため、千葉市は2019年1月、飲食店の喫煙室撤去費を助成する制度を始める方針です。

千葉市は受動喫煙防止対策を強化する(写真はイメージ)
千葉市は受動喫煙防止対策を強化する(写真はイメージ)

 受動喫煙防止のため、千葉市は2019年1月、飲食店の喫煙室撤去費を助成する制度を始める方針です。分煙促進のため喫煙室設置費を助成する制度は国などが実施していますが、同市の制度は、分煙からさらに一歩進めて飲食店の“完全禁煙化”を支援するもので、全国的にも珍しい制度です。

 市民の健康を守るとともに、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて「国際水準を満たす受動喫煙対策」の実現を目指します。

市町村初の罰則付き受動喫煙防止条例も

 9月6日に開会する定例市議会に、関連費用を盛り込んだ2018年度一般会計補正予算案を「受動喫煙の防止に関する条例」案などとともに提案します。

 受動喫煙防止条例案は、従業員がいる飲食店は規模にかかわらず、飲食ができない喫煙専用室を設けない限り、屋内を原則禁煙とするもので、7月に成立した改正健康増進法よりも厳しい内容となります。違反した場合、指導・勧告・命令を行い、それでも従わない場合は5万円以下の過料という罰則があります。千葉市によると、罰則付きの条例は「市町村では恐らく初めて」。

 なお、キャバレーやナイトクラブといった、風営法が適用される店などについては当面、努力義務とします。また、加熱式たばこは例外扱いに。条例案が可決されれば、施行は2020年4月1日の予定です。

 千葉市は、受動喫煙対策を推進し、条例の実現を後押しするため、喫煙室の撤去関連費用を助成する方針です。補助率は9割で上限は10万円。撤去費や、壁紙の張り替え費用などを想定しています。

 千葉市健康部健康企画課の担当者に聞きました。

Q.なぜ、改正健康増進法よりも厳しい基準の条例をつくるのですか。

担当者「改正法の施行で多くの事務所などでは受動喫煙対策が行われますが、既存の小規模飲食店は『喫煙可能のまま』とすることができます。千葉市内では飲食店の大半が『既存の小規模店』に当たると見込まれ、市民の健康を守る観点からは、法による規制だけでは不十分だと考えました。

また、飲食店のお客さんは店頭の表示を見て喫煙可能な店を避けることができますが、従業員は受動喫煙を避けることが困難であり、保護する必要があると考えました」

Q.市の条例による規制対象になるのは、どのくらいですか。

担当者「市内約3200店のうち約6割と推計しています」

Q.喫煙室撤去費用の助成の狙いは。

担当者「市民の健康増進のため、より効果的な受動喫煙対策を推進する観点から実施しようとしています」

Q.喫煙室の設置について助成しないのはなぜですか。

担当者「喫煙室設置については国の補助制度があり、さらに本年度から補助率が引き上げられているため、十分な助成が既に行われていると考えているためです」

Q.補正予算案の受動喫煙対策費は2200万円となっています。このうち喫煙室撤去分はいくらで、何店分になるのでしょうか。

担当者「30件分、300万円を見込んでいます。補助対象は全部で800店程度と見込んでおり、残りは来年度当初予算で計上したいと考えています」

Q.喫煙室撤去への助成は珍しいと思いますが、全国の自治体で初めてですか。

担当者「きちんと調べたわけではありませんが、他の自治体で同様の補助制度を実施していると聞いたことはありません」

Q.法律よりも厳しい受動喫煙対策については反対もあるかと思いますが、どのように対応されますか。

担当者「飲食店への支援として、補助制度に加え、実態把握、個別周知、禁煙を導入した店舗の成功事例などを紹介するセミナー開催を行うことにしており、関係経費を補正予算案に計上しています。

飲食店では(禁煙化による)客や売り上げの減少を懸念していることから、利用者である市民に、受動喫煙対策を行う趣旨や制度の内容を理解してもらうため、幅広く周知啓発をしていきます」

(報道チーム)

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