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「婚活サイト」を悪用した男性を信じ、だまされた3人の女性(上)

「嫁とは離婚する」と約束した彼

 彼は妻子の存在を明かした後も夕子さんを何度も食事に誘ってきたそう。婚活とはいえ、既婚者との交際は「不倫」なので、夕子さんは最初のうち、彼からの誘いを断り続けていたのですが、どうして付き合い始めることになったのでしょうか。

 それは、彼が「嫁とは離婚するから!」と約束したからです。実際のところ、彼は妻とうまくいっておらず、妻に追い出されるような形で帰る場所を失い、結局、行く先がないので夕子さんの部屋に入り浸るようになったのです。「息子(3歳)のことやお金のこともあるから、早く離婚を進めたいんだ」。彼は事あるごとに離婚を匂わせたそう。

 例えば、夕子さんが「奥さんが離婚に反対したら」と聞くと、彼は「理由が経済的なものなら自立できるようサポートするつもりだから」と言い、夕子さんが「いつまで待てばいいの?」と不安そうな顔をすると、「離婚は大変だから一緒に戦ってほしい。僕は本気だ。だから、夕ちゃんも本気で僕のことを好きになってほしい」と熱く語り、性交渉の際には「夕ちゃんとの子どもはたくさん欲しいけれど、念のため、ピルを飲んでおこうか。嫁から訴えられた時のためにね」と気遣ってくれたので、彼が離婚し、自分と本気で一緒になるつもりだと信じて疑わなかったのです。

 しかし、妻との話し合いは進展せず、業を煮やした夕子さんは彼を市役所に引っ張ってきて、力ずくで婚姻届に署名させようとしたのです。とはいえ、いくら不備のない完璧な婚姻届を準備しても、彼が妻と離婚しない限り、役所の窓口で婚姻届が受理されることはありません。婚姻届は離婚届とセットなのです。

「なんで結婚できないの!!」

 夕子さんは思わず、悲鳴にも似た声を上げて取り乱してしまったそうですが、あろうことか彼の妻も市役所に居合わせており、一部始終を目の当りにしていたようで、夫と女がどのような関係なのかは、一目瞭然。夫が離婚を切り出してきた理由が「性格の不一致」ではなく「女との再婚」なら、妻はますます離婚を拒否するに決まっています。

 夕子さんが、市役所という衆人環視の場でヒステリーを起こしたせいで2人の仲もぎくしゃくし始め、次第に夕子さんは疑心暗鬼に陥り、何を信じていいのか分からず、混迷を極めていったのですが、もはや、会うたびにけんかをするほど険悪な状態に。そんな一触即発の雰囲気に嫌気が差したのか、彼は「1人になって考えたいんだ」と言い残し、夕子さんの電話に出ず、メールに返事をせず、LINEも既読にせず、殻にこもったのです。

 最後の決め手になったのは、妻の「離婚したら、もう子どもに会わせない」という一言。結局、彼は妻との離婚を断念し、元の鞘(さや)に戻ることに決め、夕子さんには「もう別れよう」と一方的に縁を切ろうとしてきたのです。

 夕子さんが「どういうこと?」と投げかけても彼は「それを話し合っても意味がない」と言い、夕子さんが「別れるなら責任を取ってよね」と詰め寄ると「保留させてほしい」と言ったきり、保留中の質問に対して答えようとしなかったので、「返事を待っているんだけど」と催促すると、今度は体調不良を理由に返事を後回しにされる堂々巡りで…。

 彼はそれ以降、完全に音信不通の状態に。彼は本当に家庭を捨ててまで夕子さんと一緒になる気があったのか、途中で気が変わったのか、最初からだますつもりで接触してきたのか、夕子さんは事の真相を知る機会すら与えられず、いとも簡単に捨てられてしまったのです。

 日本では重婚が認められていないので、夕子さんと彼は「離婚ありきの結婚」というおかしな関係です。本来は妻との離婚がきちんと成立してから付き合い始めるべきでしょう。なぜ、夕子さんは順番を守らずに、まだ離婚していないのに彼との関係を始めたのでしょうか。

 夕子さんにとって一番大事なのは「結婚」。離婚前から付き合っていれば、離婚成立と同時に結婚できるに違いないと思ったようですが、焦りは略奪の免罪符にはなりません。婚活とはいえ、既婚者との交際は「不倫」なので、どんな理由があろうと離婚を待ってから交際を始めなければならない。そのことは、目の前の魅力的な男性がたまたま既婚者だった場合は肝に銘じておくべきでしょう。

※「下」に続く

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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