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“51歳ひきこもり長男”が自閉スペクトラム症と判明 兆候に気づきながらも、少し変わった子と放置した母の“悔恨”

病院の受診は早い方が望ましい

 私との面談後、母親は中島さんを発達障害の検査ができる精神科に連れて行きました。検査の結果、自閉スペクトラム症の可能性が高いということが分かったため、母親は私と2回目の面談をすることにしました。

 中島さんは就労が困難であり無収入なので、障害年金の請求を検討することになりました。

 中島さんは今まで精神科や心療内科を受診したことがなかったので、初診は現在の51歳のときになります。母親によると、中島さんは20歳から国民年金に加入しており、今まで国民年金保険料の未納はないとのことでした。

 以上のことから、中島さんは障害基礎年金を請求することになります。仮に障害基礎年金の2級に該当した場合、1カ月当たりの給付額は次のようになります。

【障害基礎年金2級の給付額(月額)】
障害基礎年金 6万8000円
障害年金生活者支援給付金 5310円
合計 7万3310円
※いずれも2024年度の金額

 金額を確認した後、母親は言いました。

「月に約7万円の収入があれば家計的にも非常に助かります。長男は障害基礎年金が受給できそうでしょうか」

「自閉スペクトラム症でも、その症状が重ければ障害基礎年金の対象になります。ですが、障害基礎年金が受給できるくらい症状が重いかどうかは、今ここでは分かりません。障害基礎年金が受給できるかどうかは、主に医師の作成する診断書の記載内容で判断されるからです」

「分かりました。それでは今すぐ病院に診断書を書いてもらうようお願いしてみます」

「残念ながらそれは駄目です。なぜなら障害基礎年金(障害厚生年金も含む)は、原則として初診日から1年6カ月を過ぎた日以降に請求できるというルールがあるからです。よって診断書の作成はもっと先になります」

「1年6カ月…。そんなに待たなければならないのですか。それならもっと早く長男を病院に連れて行けばよかったです」

 母親は残念そうに言いました。

 今回のケースのように、ひきこもり状態にあるお子さんの中には障害基礎年金の請求を検討することも多いです。ただし、障害基礎年金(障害厚生年金も含む)を請求するためには、まず医療機関を受診する必要があります。

「本人の性格だから」といって病院を受診しないこともあるかもしれませんが、ひきこもり状態がなかなか改善しないのであれば、医療機関を一度受診してみることをお子さんと話し合ってみましょう。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

【要注意】「えっ…!」これが「障害年金」が受給できない“事例”です(4枚)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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