「カスハラ」が社会問題に…話すと疲れる「文句を言いたがる人」の心理ってどんなもの? 心理カウンセラーが示す解釈
「文句が多い人」になりやすいのはどんな人?
あなたの身近にも、「いつも文句ばかり言っている人」「文句をただ言いたいだけの人」「文句を言うのが好きな人」がいるかもしれません。こうした心理状態や考え方は、なぜ形成されるのでしょうか。
防衛機制は、欲望を抑制するために常に働いており、その抑制をどのように発散させるかの方法は、無意識に選択されることが多いです。つまり、文句ばかり言っている人や、文句が好きだと開き直っている人は、抑制された欲望を発散する方法として、無意識に「文句」を選択していることが多いのです。
防衛機制にはネガティブなものだけでなく、ユーモアへの変換・有意義な社会活動など「昇華」としてポジティブに変換することもできます。しかし、これらを選択するためには、物事をじっくり考えたり、道徳的な価値観を醸成したりすることが必要で、それらは面倒くさいことです。
そうした意味では、成育歴や環境の中で、忍耐力や深い思考力を鍛えることをしてこなかった人が、「文句が多い人」になりやすいといえるでしょう。
ところで、文句は会話だけでなく文章でも伝えられますが、「会話で聞く方が疲れる」という人は多いと思います。これには、「文章と違って自分勝手に中断することができない」という性質以外に、「言葉=音である」ことが関係しています。
音は物の振動によって空気が揺れ動き、それが耳に伝わるもの。つまり“エネルギーを持つストレス(刺激)”です。エネルギーがポジティブなものであれば、やる気につながりますが、ネガティブなものばかりであれば負荷となってしまいます。
「文句が多い人」への接し方
では、身近にいる「文句を言う人」に対して、どのような接し方をすればよいのか、対処法について考えてみます。
文句を言う人は抑圧を解放させたいわけですから、それを抑圧することは最もやってはいけないことです。関係性によっては、さらなる圧力で発散させようとする可能性があるので、軽く聞き流すのが一番です。
文章であれば、自分の判断で中断することができるので、聞き流すことができない場合は「文章で送ってください」と伝え、受けるストレスを自分で調整する方法もあります。
最後に。「文句を言わないと気が済まない」と自覚している人が、こうした自身の性質を変えたいと思ったときに、どうしたらよいのかを1つ提案したいと思います。
まず「自分が発した言葉は、そのまま自分も受け止めている」ことを意識してみましょう。SNSなどで発信する癖のある人は、その文章をポストする前に、自分で声に出して読んでみてください。
先述したように、音はエネルギーです。音読を何度か繰り返して自分の心が疲れたと感じたとしたら、それは、他人に自分のストレスを押し付けていることになります。
また、「もっとこうすればいいのに」といった、自分の正義や向上心から文句を言っている人の中には、実は心から改善を求めているのではなく、「そうした意見を持つ自分を認めてほしい」という承認欲求だけで文句を言っているケースもあります。
自分の抑制された欲望を、他人を不快にさせて発散させようとしていませんか。心当たりのある人は、他人を不快にさせて発散するのではなく、「昇華」させていくことを心がけてみてください。
(オトナンサー編集部)
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