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「自分の食欲が恐ろしい」…食後なのに「何か食べたい」と思うのはなぜ? 糖尿病専門医に聞いてみたら明確な理由があった

食事後、あまり時間がたっていないのに「何か食べたい」と感じた経験はありませんか? 食後に襲ってくる“食欲”の正体について、糖尿病専門医に聞いてみると……

食後なのに「何か食べたい」…!?
食後なのに「何か食べたい」…!?

 さっき、ご飯を食べたばかりなのに「まだ何か食べたい」…このような“食後に軽く何かを食べたくなる現象”に、心当たりがある人は意外と多いかもしれません。食事の量が少なかったわけでもないのに、「何だかおなかが空いたな…」「ちょっとお菓子を食べたいな…」と感じた経験がある人からは「自分の食欲が恐ろしい」「絶対太ると分かってて食べてしまう」「困ってます」など、食欲と日々戦っていることがうかがえる声が聞かれます。

 なぜ、食後にもかかわらず、「何か食べたい」と感じてしまうことがあるのでしょうか。食後に襲ってくる食欲の“正体”について、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんが解説します。

“食欲増進ホルモン”や“食欲抑制ホルモン”が関係

 食事をした後、あまり時間がたっていないのに「空腹を感じる」「軽く何か食べたくなってしまう」……そうしたことは、実際に起こり得るといえます。

 通常、食べ物が消化・吸収されて空腹になると、「グレリン」というホルモンが胃から分泌され、脳が刺激されます。これにより、食欲が刺激されて空腹感を覚えます。いわば“食欲増進ホルモン”です。

 グレリンの分泌量は、食べ物を摂取することで減ることが分かっていますが、分泌をより低下させるのは「ブドウ糖」です。つまり、ダイエットなどの理由で糖質制限を行うと、グレリンの分泌量が減りにくくなり、食欲が刺激されるので、空腹感が持続するというわけです。

 一方、グレリンと反対の作用を持つ「レプチン」というホルモンは、脂肪細胞から分泌されて脳に作用します。こちらは、食欲を抑える働きをする“食欲抑制ホルモン”です。

 レプチンは、食事を開始して約20分経過すると分泌されますが、血液中の糖質が増えることで分泌されるホルモン「インスリン」の刺激によって分泌量が増えます。つまり、インスリンを分泌させる程度の糖質を摂取しなければ、十分な量のレプチンが分泌されないということです。よって、糖質を摂取しないと、空腹感が持続する可能性が高いといえます。

 食後に空腹を感じる要因は、ホルモン以外にも考えられます。その一つが「血糖値」です。

 空腹感は、低血糖症状の一つです。糖質を過剰に摂取すると、血糖値の上昇を抑えるために、インスリンが大量に分泌されます。その結果、血糖値が急激に低下し、その変動を体が「低血糖だ」と勘違いして、空腹感を引き起こすことがあります。ちなみに、実際に低血糖になっている場合も同様に空腹感が出てきます。

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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